ホスピタリティの高いエンジニアは実在するか
「実行力を持っていて、頼まれごとは嫌な顔をせず、やり切ってくれる。困りごとはきいてくれるし、何よりホスピタリティがとても高い」
こんな頼れるエンジニアを探すとどこの組織でも中堅エンジニアとして実在すると思うし、思った以上に割と多いのではないかと思うがどうだろう。それとも、前述のようなホスピタリティのたかい「非実在エンジニア」は存在しないのだろうか。
自分のこれまで一緒に働いてきたエンジニアを思い浮かべると何人か思い出せるから、非実在ということもないのだろう。
実は、このホスピタリティの高いエンジニアは中堅で成長が止まってしまう。コンピテンシレベルを上げる(昇給にもなる)ために、自身の育成プランを考えてもらっても、やり直しになる。アプローチを説明して、それをペースにして、やっとお互いに作っても、設定したアップサイドのプランは実行されない。いや、手は付くが中途半端で、自己評価は低く終わってしまう。
普段の仕事では、ホスピタリティの高さ故、自身の目標は劣後する(頼まれごとを優先する)。ジリジリと遅れ出す。ポーリングしたり話を聞いたりすると、そのときはリマインドがかかるのだが、また元に戻ってしまう。
観察していると、ホスピタリティの高いエンジニアはこんな風にみえている。
・成長したいwillはある
・成果を出したいwillはある
・仕事は向こうからやってくる
・ホスピタリティの高さゆえに仕事が切れない
・実際仕事量はおおい
・実践知で仕事を乗り切る
・手法、方法論、技法などを背景に説明しない(できない)
・実践知に頼るため引き出しが少ない
・実は頑固(実践知ベースゆえ)
・際限なく割り込みしてくる仕事にリソースを使う
・willと自分に期待している結果で自己評価は低い
・仕事は外から舞い込んでくるから専門性の軸を聞いても考え込む
・専門性の軸がないからToBeのイメージ像を持っていないか、解像度がとても低い
ブレークスルーさせないと、次のアップサイドにステップアップできない。だから結果的に中堅エンジニアのポジションに長期に渡って滞留する。
滞留する原因は他にもあり、これがとても宜しくない。
・マネージャが便利に使う(塩漬けする)
・ホスピタリティの高いエンジニア自身の仕事への満足度は高い(仕事量は多いし感謝されるので)
その仕事はいつかなくなるか、担当が変わるか、配置転換が起きる。そのとき困るのはホスピタリティの高いエンジニアなのである。
だから手間が掛かってもアップサイドへ導かないといけないのである。