基礎スキルを育てないとどんなエンジニアになるか

チームの中で、トラブルになるエンジニアの共通項は、そのエンジニアの仕事振りの根幹として影響する基礎的なスキルの不足である。

チームでの活動なのに、チームの目標とは違う(自分の思いついた)方向に相談もなく進んでしまったり、アサインされているタスクが一向に進捗しなかったり、最後は見るに見かねて誰かがフォローアップしてしまっている。

一番の問題は、本人にそうした状況であることを伝え改善を求めても、その当事者であるエンジニアはそれがどういうことかを理解していないことである。

トラブルになるエンジニアは、自分の関心を引く技術にとても惹かれる。それをやりたいと十中八九言うだろう。

だが、出来た試しはない。

基礎スキルを持たないので、仕事として成り立たないのである。その積み重ねがトラブルを起こすエンジニアなのであるが。

困ったことに、こうしたエンジニアは一見では判別しづらい。往往にして、その場をやり過ごす会話をするからである。それを信用して任せてしまうと、基礎スキルを持ち合わせていない状況下で、自分の思い込みをベースに進めてしまう。進捗すればまだましだが、基礎スキルがないため仕事を進められない。仕掛かり状況を無理やり見ると『なんだこれは』レベルのものしかない。

  • 課題の設定
  • ゴールの設定
  • 作業の組み立て
  • やり遂げる意志
  • 困ったときに聞き回る

こうした当たり前の仕事の仕方ができない。出来ない筈である。基礎スキルがないのだから。もう一度言うならば、基礎スキルがないことに気づいていない。もしかしたら、薄々気づいているかもしれないが、気づいていない振りをしているのだろう。

基礎スキルは、地味である。地味だし、基礎スキルは定性すぎて自分でできるようになったと評価しづらい。このくらいでいいかと止めてしまうと中途半端で身についていない。自分で基礎スキルを持っていると思い込んでいる人は、経験したことを自分の実践経験として積み重ねているだけで、知に変換しない。しないから、基礎スキルが脆弱のままで年だけとってしまう。

基礎スキルがないと仕事を終わらせるスキルがない。だから、技術スキルを持っていてもそれを使い、仕事を終わらすことができない。できたと思っているのは、他のメンバがお膳立てをしたときだけである。それを自分でやったと思っている。

基礎スキルを持っていないと、仕事が結果的にできず、自己承認要求が満たされない。その要求が決壊したとき、チームの中でトラブルを起こすのである。

物好きでもなければ、誰もがトラブルなエンジニアを疎む。結果、孤立し、悪循環になるのである。

こうしたエンジニアをズルズルと引っ張り続けるとチームが疲弊するので、チームを作ったときは、とにかくスプリントゼロをやってパフォーマンスを見るついでに自分で仕事を終わらせることができるエンジニアかどうかを見極める必要がある。