箱庭のような作業場所にエンジニアは共創の夢見ない
働き方改革や採用の一貫でオフィスをリニューアルしたり、新オフィスに移転するケースを見かける。どこでも白い長いテーブルをフリーアドレスなどと称して導入している。確かに白は映えて綺麗だし、広く自由に仕事をできそうだ。でも、実際は横幅を決めて椅子を詰め込む。リニューアルする前なら隣との間にはムービングキャビネがあり、自分の場所があった。左右や前後に座る同僚が上司でなければ、まあ、安泰だったのではないか。
フリーアドレスになり、コラボレーションスペースと名前付けして少人数のテーブルを置いたり、カラフルなソファをホワイトボードの壁の前に配置したりする。
オフィスのリニューアルに伴い、リモートワークができる環境、多くはOA基盤の範疇のOA環境をモバイルを使ってもストレスを感じない程度の道具を揃え、どこででも仕事をしていいとエンジニアを外に追い出す。
実際の業務の方は、オフィスをリニューアルする際の投資理由として生産性の向上を挙げているからエンジニアの生産性向上を求める。もちろん、リモワを推奨するからオフィス面積を縮小する。全員がオフィスにいたら座る席は全く足らない。
何を根拠にこのようなオフィスレイアウトにしているのだろうか。稼ぎを得るのはエンジニアである。エンジニアが稼働し、外貨を得るサービスを提供しなければ収入はない。
境界のない大広間のようなところで、でも、見えない区画化された場所で、ただ、設備が新しくなっただけの、道具は変わらないままでどうして生産性が向上するのだろうか。
エンジニアの仕事も今までのような労働集約型ではやっていけない時代である。1社では限界があるから共創というキーワードでビジネスをやるのに、それを支えるエンジニアの仕事が従来のままでいいというのは明らかにおかしい。
早く、正確に、デリバリするためにモブる。複数エンジニアが複数の画面を共有しながらコードを書き、デプロイする。
DXというバズワードで企画から巻き込んだビジネスを目指すならそんなオフィス環境では上手くいく理由がない。
必要なのは一人ひとりのエンジニアの箱庭のような狭いスペースではない。エンジニアのチームを大型のディスプレイで覆う環境が必要なのだ。
宇宙戦艦の艦橋のようなイメージの作業スペースが必要なのである。それを用意できないなら、相変わらずエンジニアを工員扱いしている労働集約型のSIerから抜けられないし、DXもリモワも働き方も幻想ではないだろうか。