メンティーの自己評価を訓練する

新卒(要は未経験者)を採用すると、組織の体力により集合研修を行ったり、配属先で基礎的な研修を行い、業務に入る。30年前とは開発スピードも、適用技術の幅も格段に変わったため、とても1人歩きするまでの障害が多すぎる。

こうした環境を少しでも歩きやすくするために、経験を積んでいるエンジニアをメンターとして付け、いわゆる相談できる環境を整える。

メンター制度自身は、本来、良き指導者であり、あれこれと指示を出したりするものではない。悩みを聞き、方向性を示す程度である。メンターがメンティーからの相談を持ちかけられ、対応方法を示したりしては、メンティーは解決する能力を身につける機会を奪うことになる。であるから、メンターは、作業指示をしてはいけないのである。

業務を担当すれば、成果を評価する。担当する業務は、能力に応じたものにするか、ストレッチをして挑戦する業務もある。業務を担当するということは、各エンジニアの責任を明確にするということであり、担当する業務の難易度に関わらず、何かしらの貢献(成果)を求められる。その貢献を自己評価させると多くのエンジニアはやった、できなかったと申告するが、それは状態でしかない。エンジニアは業務を介して実践能力を身を確かなものにする。初めて挑戦する業務で期待する成果を得られなかったから、できなかった、ではない。失敗したやり方を習得したのであれば、その失敗を共有することで組織に学習をもたらす。失敗が途中でわかれば、仲間の協力を求めることができ、何かしらの結果を得られる。100を目指したが、失敗し、仲間の協力を得て、60を得たとすることもできる。失敗したと途中で気づける能力、失敗からそれを軌道修正するために必要な能力、リソースを手配する能力、ある程度の成果にたどり着くことができる能力を身につけている。これはできなかった、では評価されない。

こうした考え方を指し示すのもメンターの仕事である。時間を多く使ったことを頑張ったとメンターが評価をしてはいけない。何を得たか、何ができるようになったかをメンティーに示唆しなければならない。

メンティーにつくメンターは、メンティーの業務目標を理解し、そこで身につける能力設定を理解し、それが実現できるように促さなければならない。メンターが設定する業務目標の貢献が具体的であるか、第三者が目標と実績を比較したときに成果を捕まえられる表現になっているか、メンティーが自己評価したときに、エビデンスを残せるかを見極めなければならない。その上で、業績を評価する際に、メンティーの自己評価が業務目標に対する客観的で、自己を低くも高くもない、ちょうど良い範囲での評価をできるように訓練しなければならない。

 

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