60歳に近いシニア層にもチケットシステムを使ってもらうための口説き方。

手作業と誤謬とムダな添付メールの廃絶のために。


IT会社はそれほどITではない
SIerのプロジェクトを管理する側の人の仕事を垣間見ることがあって、彼らがやっている仕事の前近代的と言うか、夜明け前的な仕事の仕方に内心感心させられることがあるんです。


ほら、こっちとしては彼らの仕事は外側から見ている部分だけしか知らないんですけどね。あるタイミングで上っ張りだけなのかもしれないけれど、その仕事の仕方が20年、いや30年前と変わっていないということに彼ら自身が気づいていないんですね。良くも悪くも、その旧態依然とした仕事のやり方で仕事が出来ているという事実があるからこれまたいけないのだろうし、コストセンターであるが故に予算を確保できているうちは仕事の仕方を変える理由が多分、彼らにはないのでしょう。


面倒なのは嫌い。だから楽をするために試行錯誤する
ワタシは面倒なのが嫌なんです。事務処理とか定型作業とか。とは言え、週次なり月次なりでサイクルで回ってくるタスクはお仕事なのでやりますが、チョビッとずつですけど運用というか裁量で変えられるところはいかに楽に、でも作業品質は高く確保できるかという観点だけで弄り回します。それはただ机上で試行錯誤するのではなくて、自分がモルモットになって月次のタスクの場で試行をしてみる。で、イケてなければ修正するのか、アプローチが全然だめなのかを判断していけそうか、このまま続けて実証実験ぽくやって横展開にまわそうか、なんてやっています。


そう、楽をするために試行錯誤と変化をさせていくんです。


先の旧態依然の、前近代的な仕事ぶりの人たちは自分達の決めたルールに則って作業をしているのですが、それって手続き、フローとフォームだけの話なんですよね。それ以外は運用の範疇なんです。だったら、楽をするために楽な方法を探せばいいのに。


旧態依然なのは変える必要が無いからだけど
例えば、excelでできた様式。多分、文化遺産的なexcel97とかで作られたのではないかと思うような酷いデザインで。いや、excel97が悪いわけじゃない。そのひな型を作った人が帳票設計をしたことが無いからなのだろう、セルは結合していないし、フォントはバラバラだしサイズも違う。様式1と2に同じような項目がある、etc.etc.……。


当時はなかっただろうけど、今ならtrackでもsvnでも他でも手軽にデータを残す方法は幾らでもある。そうしたものがあることの存在自体知らないんですよね。


ならば口説こう
そうした知らない人たちにtracsvnを教えてあげたんです。いや、ワタシも間接的に関わるタスクだったので、

「いやー、これ便利ですよー。」
「クライアントはワタシがインストールしておきますよ。ほら、ここからダウンロードして。」
「フォルダを作るでしょ。ほら、こんな感じ。でね。ちょいちょいと設定してね。」
「担当されてる会議の資料って、どこで保管しているんです?えっ!ローカルだけ?PC死んだらアナタも死んじゃいますね。」
「じゃあ、そのフォルダをさっき作ったフォルダの下にサブフォルダつくって、そこにコピーしちゃいますよ。」
「コピーだから元のファイルには影響しませんからね。心配しないでね。」
「あーだいぶありますね。終わるまでお茶でもしますか。」
「あら、終わってた。」
「これね、ワタシのPCに同じフォルダがあるでしょ。」
「ここで同期しちゃうとね。」
「ほら、アナタのサブフォルダにコピーしたファイルがね。」
「どうなってるのかって?アナタのサブフォルダがサーバにアップロードされたんですよ。」
「もうね、ファイルがどれが最新かって管理しなくていいんですよ。ひとつ作業がなくなりましたね。」
「でね、サーバのサブフォルダのデータがワタシのPCにダウンロードされたんです。同じものですよ。」
「ファイルの登録はこうやって、こうやって、これでお終い。」
「いつもで聞いて下さいね。ワタシがいなかったらこのサーバの管理者がAさんなのでAさんでもわかりますから。」
「でも、気にせずワタシに聴いてくださいね。」


勧めるんじゃなくて口説くんだからね
大事なことがいくつかあって、それを払しょくするなり回避するなりして使いやすい環境をお膳立てしてあげることなんですが。

  • 新しいことにそれほど抵抗のない人を選ぶ。
  • クライアントのインストールなど面倒なことは目の前でやってしまう。
  • 現実に起きそうなリスクを認識させる。
  • 現状に影響しないことを知らせる。
  • チョー簡単に概念を教える。
  • 楽になったことを強調する。
  • ワタシも同じ環境であると仲間がいることで安心させる。
  • いつもで頼れるサポートがいることで安心してもらう。
  • さらに、上位サポートを教えて安心を重ねる。


口説いたフォロワーは勝手に営業してくれるんですよ!!
こうやって、フォロワーを作ります。最初のフォロワーは手厚いサポートをします。何故かと言えば、フォロワーが覚えて使ってくれれば、フォロワーが次の人をフォローしてくれるからです。大体こうしたときのフォロワーとして選ぶ人は、好奇心を持っているけれど年次的にシニア層でそうしたツールを知らなそうなタイプです。だから、教えて、恩恵に与ると直ぐに覚えてくれますし、知らない分だけ、何でも気づいてくれます。そうした気づきは次のフォロワーに展開していくときに追加情報として入れ込みます。


で、展開していくときに最初のフォロワーさんを担いでいうんです。

「ねぇ、これ便利ですよね。」
「そうそう、スゴク便利便利。」
「どういったところがいいですか。」
「普段の操作は今までと変わらないし、でも、もしものときはサーバからもう一回ダウンロードすればいいんだから。」
「もしもって、PCのデータが壊れたら、とかですね。で、データはサーバに保管されているからですね。」
「そうそう、あとバージョン管理してくれるんだよ。自分でバージョンごとにサブフォルダを作る必要ないんだよ。」
「規定とか、文書で版管理する必要のあるものは便利ですよね。バージョン管理。」
「だからお前たちも使えよ。」


検証結果の考察
これで1部署制圧終了しました。