システムエンジニアがヤバい仕事を前向きに回避する処世術


もう、いつだった判然しないけど、かなり酷いプロジェクトのメンバだったことあります。今から思えば、プロマネモアレだったし、当時のマネージャはベンダと不仲だったし、そりゃヒドイと言いようしかなったです。チームの中もバラバラだったし、当時のワタシも不出来だったし。


そのプロジェクトはシステム再構築のプロジェクトで、プロジェクトスペースは顧客の情報処理部門の空いているスペースを使うという環境的にもなかなかアレな感じでしたねぇ。いまなら、断固として持ち帰りする算段をたてますけれど。


まあ、そういった割とシビれる感じのプロジェクトも終盤にかかるとだれが保守をするかということになるわけです。


ここまでの流れから察しがつくかと思うのですが、なぜかワタシに白羽の矢が刺さったというか、生け贄として目をつけられてしまったわけです。アーメン。冒頭の感じのプロジェクトのシステムのお守りをするわけですからそれは相応というかどれだけ大変かがサッパリ見えないというのが感覚的にわかります。


なんというか、絶望感のような。


人は、好きなことでもない限り、先行きが見えないことには不安を覚える生き物です。それに対し、ストレスを感じ、本来であれば消費すこともないエネルギーを多大に消費してしまいます。もし、ワタシがワタシの上司だったら、作業範囲と目安の期間を説明していたでしょう。そうすることによって、仕事としてやることの難易度やスキルのミスマッチを打診する相手に具体的に伝えることができるからです。さらに、期間を示すことで時間的な目標を持たせることができるようになります。


作業範囲を示すことは、打診する相手のスキルの過不足を明示的にするので返って拒否されると思われがちですが、それは逆に条件闘争に持ち込むことができるようになります。通常は、打診された側から「◯◯スキルは持っていない」といってくるものです。そう返ってきたら、組織的にバックアップすることを取り付ければ良いのです。実際にバックアップする人の工数を当てるか、助言程度にするなどはバジェットの範疇なので運用で決めればいいのです。それよりは、維持管理を打診する人を孤立させないと意思表示することが大事なのです。


人は慣れる生き物なので、期間的な目標を置くうちに、その仕事の相性が悪いとか、技術志向が高く維持管理の対象システムが技術的に低いために起きるギャップが生じなければ、馴染んでしまいます。仕事に慣れるということは、ある程度先が読めて自分の裁量で仕事を進められる安心感を得られるからです。


でも、当時のワタシにとってはこの案件は回避せよと本能が拒絶していたのでした。そうはいっても、誰かが維持管理をしなければならないわけで、その担当になる方には申し訳ないのですが正直そう思ったのです。

うーん、このままずっとこれか。


それは違うな、と。何か握らないといけない。それも権限がある人と。そんなことを考えていたとき、プロジェクトがプロジェクトだったので、割と偉い人が顔を出していたんですね。で、例の件をやってほしい、とお話になる。


とっさに出た言葉は、

「1年でいいですか。1年はやります」


そのとき何か感じてくれたのでしょうか。こんな返しが来るとは思っていなかったんですよ。

「何かやりたいことがあるのか」


とっさにやりたいことを伝えられたんです。何を言ったかは忘れましたが、それほど具体的ではなかったと思います。けれど、やりたいことがあるとは伝わったんでしょう。ワタシとしては幸いにも、誰かにとってはどうかはわかりませんが、とにかく、ワタシが維持管理にアサインされませんでした。それが良かったのか悪かったのかはわかりませんが。


この経験でアサインする人が持っていないといけないスキルとして学んだことは、2つです。

  • 全体の情報を伝え、条件闘争に持ち込みなさい。
  • 期間を示しなさい。


アサインされる側の立場の人は次の3点を覚えておくと良いです。

  • やりたいことを(うそでも)もっておきなさい。
  • 情報の全体観を掴みなさい。
  • 受けられる期間を示しなさい。