ベテランの退任が組織に与える静かなインパクト


プロジェクトマネージャの候補生の客観的な数値に基づく机上の数字遊びをしながらツラツラと、「なんでシステムエンジニアの多機能工化や上流工程へのシフト的なことが求められるのかなー」とか思考を漂わせてみたり。


机上の数字遊びは、プロジェクトマネージャのモデルと個々の評価をプロットして、プロジェクトマネージャ候補の育成の観点での課題なり、助言なりのネタを探すためのもの。この評価方法自体、どこかにあったものではなくて試行錯誤しながら形作ったものです。こういったことはすでに誰かがやっていることが多いのでどこかを探せば似たような考えやアプローチがザクザクとでてくるのでしょうね。


プロジェクトマネージャ1個人の観点で見れば、経験と果たせる責務に応じてプロジェクトでのロールをステップアップするように実務を任されます。もちろん、そこには組織としての都合でスピードがアップされたりダウンする作用が働きます。


プロジェクトマネージャが属する組織の観点でみた場合、春の時期になれば新人のシステムエンジニアが配属される一方、メンバの構成によっては逐次ベテランが組織を退くことになります。これは組織の構成要素であるシステムエンジニアが自律的に新陳代謝を行っていると言えるでしょう。


ただ、この新陳代謝も年齢的な観点での更新であって、組織として持っている技量と知見の総和はベテランの退任により逸失されてしまいます。


それに気づいた組織は、ベテランの退任により失う技量と知見を補完するために育成に目を向けるのですが、従来の育成では間に合わないんですね。なぜならベテランが退任するまでに費やしてきた時間と育成対象のプロジェクトマネージャの候補が今時点で持ち合わせているギャップが大きすぎるからです。


いやいや、ベテランのすぐしたのプロマネたちがいるじゃないかと思うかもしれないですが、ベテランと現役のプロジェクトマネージャを足して今のビジネスがあるのですから、その後は現役のプロジェクトマネージャとプロジェクトマネージャの候補で今のビジネスの拡張を求められるわけです。

ベテラン + 現役のプロジェクトマネージャ > 現役のプロジェクトマネージャ + プロジェクトマネージャの候補


この右辺で今のビジネスを拡大するとすると、どうしても従来の手法ではやれないわけです。そこに質的転換が必要となる、と。いやー、維持だけでも大変だと思いますが。


ところが、プロジェクトマネージャの育成に限らず、人の育成には当事者である候補者がその気になってくれないと絶対に育たないという壁に直面するわけです。この壁を目の前にすると多くのマネージャは最初はがんばるけれど、次第に落ちていくんですね。あきらめていくというか。


マネージャが他人を思い通りにできないことは、嫌と言うほどわかっていますから。だからあきらめる。もしくは、最初から育成に関心を示さないか。イメージを描き、思い通りに育成を手がけるマネージャはほんの一握りです。


こうしたマネージャの取り組み姿勢もこの机上の数字遊びは教えてくれます。さらに言えば、ベテランの退任が組織の与える静かなインパクトも物語ります。


さて、机上の数字遊びのゴールは「じゃあどうするの」という課題に対するhowをどう見せるか、です。机上の数字遊びが少しだけわくわくしてきました。