景気が変えるプロジェクトのリスクのパラメータ
ワタシの懐には実感はさっぱりないのですが、世の中はなんだかんだ景気は上向きつつあるのはこれまでの10年間しゃがみ続けていた経営で内部留保が溜まったとか、本業を支えるITのSWもHWもサポート切れとかとかでシステム更新を一斉に始めたからなんでしょうかねぇ。
順繰りにIT投資をしてくれればいいのに、一斉に投資を始めたらリソースは足らなくなるのは当たり前なんですが。
このニュースではオフショアに活路を求めているわけですが、タイムラインでは「単なるローコストなリソースが欲しいだけじゃん」と随分叩かれていたような。経営的には正しいと思いますけどね。それがスタートアップや中小のIT企業なら。
この景気の回復で喚起される需要の増加により引き起こされるITリソースの不足は、プロジェクトマネジメントの観点であるリスクを表面化することになります。
それはなんだと思いますか。
景気が悪ければ、IT技術者は「優秀」なシステムエンジニアから売れてきます。ITサービスを提供する側もオポチュニティを発掘したいですから程度の良いシステムエンジニアをアサインします。チームを組むときも「優秀」なシステムエンジニアと「普通」なシステムエンジニアを組み合わせてプロジェクトが安全に進行するようなチーミングをするわけです。
つまり、自分から地雷を組み込むことはしない、ということです。
ところが、需要が喚起されてITリソースへの引き合いが旺盛になると、ここぞとばかり数字を追いかけたくなるのが人情なのかその辺に座っているシステムエンジニアというラベルがついてるITリソースであれば、どんどん出してしまう。
これも商売的には正しい。
でもね、プロジェクトマネジメント的にはどうかなぁ、と。
プロジェクトは唯一無二なんですよね。だから、特性を持っている。その特性を見切りつつ、アサインを想定するシステムエンジニアというリソースを充ててみたとき、プロジェクトとしてどこに強みと弱みがあるかを推し量らないといけない。
この推し量るという行為は絶対にやらないといけない。
この推し量るという行為によって、そのあといつどのタイミングでプロジェクトをトレースするか、基本的な姿勢が決まるからなんですよ。
まさか、アサインしたら何もしないってないですよね。それ、丸投げだから。ちゃんと、トレースしなきゃいけない。プロジェクトを計画の範疇で、安全に、安心に進捗させること自体ハードルが高いんですから。それを知っていたら、放置なんてできないです。放置した後のリカバリの、プロジェクトとしてのリカバリとビジネスとしてのリカバリの大変さを知っているならわかると思うのです。
こうしたプロジェクトのトレースは、別に景気の善し悪しには関係ないと思うのですけど、景気が良くなるとパラメータが1つ変わるんですよね。
どのパラメータが変わるというと、ITリソースたるシステムエンジニアの技術力です。
ビジネス的に、優秀で価格の折り合う形でサービスが提供されることになるので、それに見合ったシステムエンジニアからはけていきます。そうすると選択されないシステムエンジニアが残ります。それが案件の引き合いごとに繰り返される。もちろん、ITサービスの提供が終わって戻ってくるシステムエンジニアもいらっしゃる。それもこれも含めて案件ごとに引っ張り出される。
そうするとどうなるか。
終いには、プロジェクトで要求されるスキルセットとレベルに見合わないシステムエンジニアによるチーミングで送り出されてしまう。
これって、ビジネス的に良しとして手を出したプロジェクトでガッツリとリスクを鷲掴みしているんですよねぇ。そこを現場を取り巻くロールを担う人たちは、さっきの「推し量る」をやっておかないといけない。
でも、やっているかどうかは怪しんだよなぁ。ワタシにとっては命綱を付けずにダイブしているようにしか見えないんだよなぁ。