プロジェクトチームとして機能するために

プロジェクトチームに必要なスキルセットを分析して、スキルを持っているメンバを集めてチームとしてスタートしたのにうまくいかない。そんな経験をしたことはありませんか。いったい何が問題なのか。一人ひとりはスキルを持っているのに。


これはプロジェクトマネージャの立場でもチームのメンバの立場でも辛い状況ですね。特に、メンバ間の関係が気になる人には辛く感じるものです。


一人ひとりのメンバは技術もあってコミュニケーション能力も問題なさそうだ。朝、おはようと言えばちゃんと挨拶をしてくれる。メンバにより違いはあるけれどそんなの誤差で許容の範囲だ。


それでも上手くいかないチームだってある。


だれかが傍若無人なわけでもジャイアンなわけでもない。でも、うまくいかない。


なんというか、少しよそよそしいとこを感じないわけでもない。でも。


個人の集団
チームで働く以上、そしてITの広く深い技術領域をメンバがカバーする以上、役割分担が生じるのは自然なことです。それはプロジェクトに必要なスキルセットとスキルレベルを理解してメンバを調達しているのだから。


それはスキルエリアのカバレッジベースの話であって、実際の、現場の仕事のやり方ではないのです。


仕事に対して責任を負うことを明確にするための分掌は、別の見方をすれば担当するエリアについてチームの中で一番詳しいということであって相談相手ということでもあります。


もし、メンバアサイン時に分掌だけを指示してしまうと、その依頼された責任範囲だけをやればいいのだというメッセージに捉えられても非難はできません。だって、それ以上の明示的なメッセージはないのですから。


そうして出来上がるのが「個人の集団」のチームです。


一人ひとりはきちんと仕事をする。でも、その仕事の界面がぴったりとパズルのピースのように嵌らなければ何が起きるかは想像に難くありません。


礼儀はちゃんとしている。投げれば返ってくる。でも、担当する範疇だけの話。


チームであるということ
多分、このチームはプロジェクトマネージャかそれに代わる人がそうした縦割りの役割の間を潤滑する役割を担うことで無事ゴールにはたどり着くことができるでしょう。


でも、そうした役割は誰かが自主的に犠牲を払ってやるものではないのです。


チームはプロジェクトの目的・目標を達成するために編成されたのです。であれば、そうした役割もチームのメンバ全員に課せられなければおなしな話です。


こうしたチーム運営に潤滑を与えるためには、チームの目標を作り、メンバが自分たちのテーマとして認識して行動しなければなりません。自分が担当する範囲はもちろん、チームがゴールを目指すための行動を判断する基準としての「チームとしての目標」が必要なのです。


プロジェクトですから、いくら個人の範囲の責任を果たしても、チームとして目的・目標を達成していなければプロジェクトは成功にならないのですから。