ポスト・モダン・プロジェクトマネジメントなんてビジネス要求が変わらないなら必要ないんだよ

「時代とともにプロジェクトの質が変わるのは当然だ。しかし問題は、従来のPMBOK(Project Management Body Of Knowledge)のような「モダンPM(プロジェクトマネジメント)」が適用できなくなってきたこと。こうした難関プロジェクトには、ポスト「モダンPM」が不可欠である。」

記者の眼 - PMBOKが通じない難関プロジェクトにはポスト「モダンPM」を:ITpro


そうかなー、PMBOKってプロジェクトマネジメントというプロジェクトの管理手法なんですよ。システム開発の手法ではないんですよ。PMBOKが変わる必要があるとするなら、プロジェクトをマネジメントして経営にフィードバックするビジネス要件が変わった、ということを暗示しているんです。


さて、ビジネスが事業計画を立て、実行して計画した予算の予実を知るというビジネスが変わったのでしょうか。わたしにはそうには思えません。変わったのはビジネスのスピードそのものです。だから、開発期間を短くしたい、投資したプロジェクトコストを回収したい、失敗しているなら早期撤退したい、という要件になっているのではないのでしょうか。


それを実現しようとしているのがアジャイル開発だったりするのでしょう。

「事前の計画に従って作業を進めるPMBOKでも、リスケジュールは可能だ。しかし遅延が発生してから原因や影響範囲を分析し、スケジュールを引き直すやり方では間に合わない。場当たり的に火消しする方法もあるが、それでは本来のマネジメントとは呼べない。」
記者の眼 - (2/4)PMBOKが通じない難関プロジェクトにはポスト「モダンPM」を:ITpro


「リスケジュールするのが可能だ」ではなく、プロジェクトは変わるものだから変更するんだよ、プロジェクトマネージャがな、ですよ。進捗の遅延は進捗管理の範疇で、これはプロジェクトが自らを知ることと、その先にはプロジェクトオーナーが要求するビジネスとしてレポートするためです。


「遅延が発生してから原因や影響範囲を分析し」としている時点で進捗管理がビジネス要求のスピードに対してプロジェクトマネジメントとして答えられないマネジメントプランになっていると言わざるを得ません。


スピードをビジネス要求として認識しているならそれに答えるモニタリングができる仕組みを作らなければなりません。その観点から言えば「遅延が発生」してからアクションしている時点でダメプロジェクトです。

「そこで取り入れたのが、非有期性を突破する「本気マネジメント」である。具体的にはまず、チームを階層のないフラットな構造に変更。プロジェクトマネジャーのB氏も1メンバーだ。その上で、タスクのオーナーをメンバーの中から決め、他のメンバーは全員でそのタスクを支援する。」
記者の眼 - (3/4)PMBOKが通じない難関プロジェクトにはポスト「モダンPM」を:ITpro


えっとですね、アジャイル風なことを言っているのになんでタイムボックスの概念が忘れられているのだろう。短期開発スケジュールというタイムスパンのなかで優先順位の高いものから開発するんですよ。それは「非有期性」は反するでしょう…。


そこに組織論を持ってくるのはどうかなぁ。階層構造にしたってWBSをアサイン性にしたってできないわけじゃない。フラットなチームにすること、アサインを自薦制にすることが「本気」であるかどうかとは関連性もないんだけれど。


それに有効かどうかは知らない(今の所受けてもメリットがない。持っていることの自己満足くらいかな)けれど Agile Certified Practitioner | PMI-ACP というのがありましてね。たしかにこれもひっそりかも。

「これを見ると、当事者自身もPMBOKの限界を認めているのが分かる。」


PMBOKをプロジェクトマネジメントの管理手法として利用しないPMPに対して問題視しているからフォロー版を出した、って所じゃないのかなぁ。読んでいないけど。