ITProの記事がマイルドになって何かあったのではないかと勘ぐってしまう


別のことを書くつもりだけど、今日はこっちを書く。


いつもと様子がおかしい

私は以前から、客の要求通りにシステムを作る御用聞きの人月商売からIT業界は脱却するべきだと主張している。実際にそうしたITベンダーは出てきているが、大手SIerはいまだに、人月料金という根拠レスの不透明な取引、そして多重下請けならぬ多重ピンハネ構造にアグラをかいている。どうしても自分たちで変えられないと言うのなら、私は大嫌いではあるが「IT業規制法」といった法規制が必要かもしれない。
引用 木村岳史の極言暴論! - (4/4)SIerによる“ピンハネ”と人月料金という“ファンタジー”の起源:ITpro


また煽っているタイトルで、ピンハネでSIerが何もしていなければ、「(契約形態によっては)偽装請負だよ」と思いつつ先に進めたら、「あれ、今日は擁護し始めたぞ」とタイトルと違う方向に進んで行くことに戸惑ってしまう。いつもと様子がおかしい。なにか今までの記事でクレームでも入ったんだろうか。途中では、客のIT部門がボンクラだからリスクを乗せられているんだ、ときたもんだ。


コンプラや遵法が棚に上がっている
でも、最後には結局、SIは多重構造と人月商売でのピンハネを変えるべきだと言っている。あのさあ、金融系の再々委託禁止とか、先に書いた請負だったら偽装請負というコンプラや法的な縛りがあるんだけど、それはどう関係すると思っているのだろうか。


仮に、SIerが再々委託を破って多重下請けを容認しているとしたら、クライアントとの契約を無視しているわけだから、コンプラで引っかかる。そう言ったことが日常的に起きているとするならば、クライアント側の監査部門が黙ってはないはずだ。監督省庁から指導されるから。一方の偽装請負は法律違反になるし、これをしたら、クライアントから下まで全部お縄である。


人月の単価設定がおかしい
ところで、

下請けITベンダーの技術者たちが怒るのは、元請け、下請け、孫請け…6次請け、7次請けといった多重下請け構造において、各ITベンダーに実際に支払われる人月料金の単価の差額の大きさだ。SIerがユーザー企業から受注したシステム開発の単価が150万円だったとしても、多重下請けの末端では50万円台だったりする。
引用 木村岳史の極言暴論! - SIerによる“ピンハネ”と人月料金という“ファンタジー”の起源:ITpro


の仮に6次請けや7次請けの多層請負としたら、プライムの150万は安すぎる。6次や7次の多層構造をとるくらいなら、SIerITゼネコンだろうから、7次を記事のとおり50万とするとき、極端な感じで配分するとしたら、こんな感じになる。下表だと、プライムから2次に出す際にリスクをプライムで取るとして、2次には100万で出すとすると、あとは事務手数料くらいしか儲けられない。システムエンジニアの手に渡るときにはこの1/3程度でしかない。

プライム 150 上位との差異
2次 100 △50
3次 90 △10
4次 80 △10
5次 70 △10
6次 60 △10
7次 50 △10


プライムと2次で大きな較差があるんじゃなくて、もしかしたら、2次か、3次くらいまででその大きな較差を按分しているかもしれないけれど、これは需要と供給というかコア技術をどれだけ下が握っているかで変わるものなので。コア技術を握っていたら、安く受けないのは当たり前だし。こういった他そう構造の中には入らないものだし。でも、案件の責任は負いたくないだろうしキャリーできないから上位下請けか直下で準委任だろうし。


で、おかしいと思うのは人月の単価設定で。いわゆる、メーカー系やトップクラスのSIer(と呼ぶのは違和感があるけど)はその1.5倍から2倍くらいじゃないの、とおもうんだけれど。そう書かない理由があるんだろうねぇ。