仕事の出来が甘いメンバをどう変えていくか

仕事の出来の甘さは、アウトプットを見れば一目瞭然だけれど、なぜそうなったかはご本人と会話するだけで大凡は判断できます。

仕事の出来が甘いということの原因には次のような理由があります。

・完了基準が客観的なものではない
ステークホルダーとの共通理解、合意形成プロセスが中途半端
・インプットが不足している
・プロセスがボトムアップのアプローチ

出来の甘さは二度手間になる

仕事の完了基準が客観的ではないということは、自分の都合に合わせてアウトプットの出来を決めている、ということです。これでは仕事で求める作業品質に達成していませんから、必然的に「やり直し」という二度手間になります。

ステークホルダーとの共通理解、合意形成プロセスが中途半端であるということは、共通理解したいテーマの説明手法、場のファシリテーション、合意の確認を後から検証できるものの確保、などが揃っていないということですから、これも何が欠けているかにより戻る位置が変わってきますが、何れにしても「やり直し」ということになります。

更に言えば、ステークホルダーだと思っていたメンバが実はそうではないメンバにアプローチしていた、というケースも想定できます。この場合は確実に全てやり直しとなります。

インプットが不足しているということは、仕事のプロセス自体に抜けがある、または、仮説が正しくないことを端的に表しています。インプット情報が足らないのだとすれば、作業プロセスで処理される情報も不足しているのですから、やり直しとなります。インプットの不足は、元々の仕事の範囲としていた範囲が取り違えている場合もあります。範囲を狭く考えていたので、実はもっと広い範囲を取り扱わなければならなかった、というケースもやり直しとなります。

プロセスがボトムアップでは、認知するデータのみを揃え、取り扱うデータのみで個別の対処方法を考えるやり方になります。この場合は、取り扱うテーマの界面、処理方針、個別対処方法、というようなアプローチにはなり得ません。

仕事の出来の甘いメンバをどうするか

個別の対処のアプローチはここでは取り上げず、このような仕事の出来しかアウトプットをできないメンバをどう扱うか、を考えます。

最終判断は誰が下すかを理解させる

出来の甘いメンバは自分の価値観で判断をしてしまうのですが、その判断をすること自体は間違っていません。ただ、最終判断であれば、それは違います。仕事でオーナーが他にいるのであれば、最終判断は裁量を持っているオーナーである責任者のみです。まずは、そこを理解させることが必要です。

トップダウンアプローチを試行させる

仕事の出来が甘いメンバは、ボトムアップで仕事をします。ボトムアップで仕事をするから、考慮する範囲を見誤ったりするのです。

ですから、仕事の出来が甘いメンバに対しては、仕事を進める上で概念から確認し、それができるまでは先に進めることを止めます。本人からは進捗が遅れると言われるかもしれませんが、ボトムアップで仕事を進めればどうせ二度手間になることが予測できるので気にする必要はありません。

完了に必要なアイテムを揃えてから始めさせる

トップダウンで仕事を進めることと関連しますが、完了状態となるために必要なアイテムとレベルを確認してから仕事に着手させましょう。

完了状態に必要なアイテムを知ることで、作業範囲や入手しなければならない情報がたやすく想定できるようになります。最初のうちは、そうしたアプローチに慣れていないので、補助してあげましょう。 

上流を担当させたいメンバに対しては

経験が少ないメンバで、一担当であればここまでの対応で良いのですが、上流工程に進ませたいメンバに対しては、更に対応が必要です。

ひとつは、トップダウンアプローチでの仕事ができるようにならなければ、

「上流工程の仕事を任せることはできない」

とはっきりしたqualifyであることを示すことです。示した上で、qualifyを突破するための支援をする、と言いましょう。

あえて明確な壁を作ることで一担当であったら支持すればよかった対応でも、人数が少ないメンバで対応する上流工程をやり抜ける武器を持たせるために、本人に覚悟をさせます。

 

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか