40代を超えて社外技術交流しないエンジニアの市場価値はゼロである

どこで何を技術習得するかは別のエントリを読んでいただくとして、エンジニアとしての興味をくすぐられるような気づきを得たり、知識として理解したことの正しさを確かめたり、身につけた(つもり)の知識を素振り(実際に使ってみること)の機会を作ったりすることは、1人ではできることではないと思っていますし、ここ数年特にそれを実感しています。

興味をくすぐるのは何か

なぜお一人様での技術習得のハードルが高いかですが、その前にエンジニアとしての興味をくすぐるのは何かを知っておいた方が良いと思います。

人の発想は、過去に得た経験の範囲でしか生み出せません。経験を点とすると二つの点を結ぶことであたかも新しい発想ができたと思いがちですが突き詰めれば経験している2つが存在しなければ結びつけること自体ができません。

そういった考え方に一理があるとするならば、エンジニアがこれまで関心を示していなかったことにつ興味を惹かれるのは過去に得ている知識の周りでということになります。

つまり、興味をくすぐるのは暗黙知の延長線上にある、ということです。

興味の限界

 興味をくすぐる要因が暗黙知であり、知識の延長線上であるとするならば、新しいことを能動的に自らの体を動かしてまで、ーそれが一番大変なアクティビティなのはエンジニア自身が分かっていることですがー、関心を示すことはまずはあり得ないことになります。

誰かしら何かしら、外部からの刺激があって、それに過去の経験で得た経験知が結びついて興味が惹かれる必要があるのですから。

歳を取ることは感度を失うこと

 エンジニアに関わらず、年齢を重ねることは誰しも抗うことはできないことで、歳を経ることは経験知を蓄積できる反面、機能的に古くなるのでノーメンテで運用できなくなっていくのです。

このとき、興味を惹かれる、という感度の技術センサーも経年劣化をするので感度が鈍くなるというか、技術革新が先に進むので年老いたエンジニアの技術センサーでは変化をセンシングできなくなっていくのです。

ここを理解しておかないと、気づいたときには形式が古くなった市場でニーズのない売れないエンジニアとして棚の上で埃をかぶるしかないのです。

社内では感度は磨けない

 40代を超えたエンジニアは2つの観点で技術的な感度を磨くことはできないし、維持すること自体が困難になっていきます。

1つは業務で習得できる技術は、業務で適用する技術に依存してしまっているということを認識しておかなければなりません。

2つ目は、持っている技術に対して感度を刺激するような指摘が得られにくくなる年齢層に入ってしまっているということです。新人エンジニアや30代であればまだ指導的なコメントや伸びる可能性を秘めた指摘を受けることはできますが、40代にもなったエンジニアに周りがするか、ということです。

まあ、しませんよね。仕事が進むようにはしてくれるでしょうけれど。

エンジニアの経験は他のエンジニアが欲しい価値を持っている

そうした社内での技術的な感度を上げることは年齢を重ねると困難になるのであれば、あとは界面の外側に出る他ないのです。

外界は、社内とは違って仕事ではないのでその人と自分のリソースを投下してまで付き合うことは何かしら欲しい情報やノウハウなど何かしら得られる関係を気づくことができるからです。

言い換えれば技術的な興味を満足させるだけのリターンが得られる関係が築くことができるかどうかにかかっているということです。

エンジニア自身が経験してきた経験知が他のエンジニアにとってはノウハウの塊であることが多く、ここ数年の傾向としてもカンファレンスの講演が公募方式が増えていることはノウハウの共有のニーズが高いことを事例として証左しています。

技術感度のgive & takeな関係

 とはいえ、大規模なカンファレンスに対価を払ってただ聴講者として聞いているだけでは交換しているのはお金と公表できる範囲での一般化された情報でしかありません。

それでは受け身でしかなく、本来したい技術的なセンサーの研磨や新たに身につけた技術の素振りにはなりません。40代を超えたエンジニアがしなければならないのは素振りの場を自ら設けることです。

設けるといっても一から場を作るのではなく、まずは現時点で持っている技術の先端に掛かる足場を作るために場のコアな技術交流会などへ出向くことです。

そこで関心があることを赤裸々にして、持っている経験知を(必要に応じて社内申請をした上で)共有することでgive&takeな関係の上でリターンを得る戦略を描き、素振りを繰り返すことです。

これでやっと社内の上辺だけの優しさとは違う刺激を得られるのです。

 

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