中小企業のシステム内製化にはアジャイルが良く似合う
まあ、多分、タイトルには後ろに隠れている前提があるんだろうなぁ、と思いながら読み進めるのが問題提起型のブログの読み手としては、一つの対処方法なのだろうと思うのです。
例えば、
ITは費用ではない、投資である
という標題から始まります。過去に「内製回帰を訴えた時に考えていた」ときのことですから、今は違うのでしょう。
これ、間違いといえば間違いですし、正解といえば正解にできなくもない。両方なんですよ。ITも今はエンプラ向けにもサブスクリプションがそこそこ浸透し始めています。導入して勘定科目を費用にできるものは費用です。まあ固定費でいいのでしょうけれど。office365や社内ポータルなどを思い浮かべるといいかもしれません。
じゃあ、これまでそういった契約がなかったのかといえば、保守だってライセンスと技術サポートのサブスクリプションと言えるのではないかと思うのですが。
一方、IT投資はIT化することでコストメリットや生産性向上を狙いとして資金を充当する行為です。投資だから投資した分は投資したコストを回収しなければならないのです。
どっちもあるよ。企業規模に関わらず、ということです。まあ、小さな企業なら特例などを駆使して、費用で処理して節税効果を得たいでしょうが。
社員をおくこと自体が投資なのでは
元記事の順序が逆転するのは勘弁願うとして。
いろいろ書かれていますが、
内製する対象に限界があり、定期的に仕事を生み出せない
とあります。
中小の社長が考えることは、人を雇う前に何をやらせるのか、です。雇ってから仕事を作る経営者も中にはいるようですが。
ただ、中小企業だからこそ、コストに敏感だし、うるさいです。そこに専任でIT担当をおくということは、年間数百万のコスト負担が出るということを真っ先に意識します。
特に、事業の受注残やキャッシュフローが頭に入っている経営者は。
そういったこともあって、中小企業でのIT担当者は、通常はIT専任ではないということです。兼務者、です。多くが、総務と兼務か営業と兼務です。10人とか20人とかしかいないので。
そこを専任で内製化をするとなると、兼務が5対5だったとしたら、兼務でIT担当以外の仕事をITに振り戻すので、もう、これだけで投資です。月のコストが20万の社員なら毎月10万、年間120万が投資です。
"内製が正しいのか不安になった"
標題が長いので前半は切りました。理由はそれだけです。
さて、その先にこんなことがアンダーラインまで引いて書かれています。
エンジニアが仮に入社したとしても、ビジネスサイドに技術がわかる方(エンジニアと仕様策定・要件定義のコミュニケーションが取れる方)がいなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。
うーん、例えば10人規模の会社、別に20人でもいいのですが、所謂、中小企業でITを担当する方のお仕事にどんなものがあるかといえば、OAサポートです。PCの設定とトラブル対応と、もしあればNASのお守りとインターネットに繋げるためのオフィス内のネットワーク設定とトラブル対応くらい。ああ、人事給与のパッケージを使っていたら設定関連でお仕事があるかもしれません。あとは、IT機器の設定と管理ですね。
事業上、販売管理システムや生産管理システムがある場合は、そこも対象に入ってきます。
そこに内製化の担当業務を渡すわけです。内製化するぞ、と。
ところで、内製化するぞと経営者が判断したあと、どうして不安になるのでしょうか。それまでは、何かをITで解決したいという経営上の課題は、自己解決してきたか、スポット契約で地場のIT会社に依頼して解決するケースが多いです。中小企業なので。
そこにエンジニアが入ってきたら、アウトソースして解決していた経営上の課題を自己解決できるようになるのです。固定費以上はお買い物がなければキャッシュアウトしなくなるのです。
では不安はどこにあるか。
エンジニアの技術力がシングルスキルだと暗黙で思っていませんかね、と。中小企業だからこそ、それこそフルスタックエンジニアではないけれどマルチで技術を使えないと、でも全部ではなく、その課題ごとに必要な技術を覚えながらやればいいのだけれど、という感じでいいのです。
何せ、内製化でコストは固定費ですから。あと、請け負っているわけではないので、納期なんてあるようでないようなものです。ここ大事。
何より、経営者はエンジニアも事業と同じように育てさせればいいのです。1人しかいない貴重なエンジニアに事業のネタを考えてトライさせればいい。そのための0.5人月を専任化に回すのですから。
中小企業です。中小企業にほどアジャイルは合うと思うのですよね。ひとりアジャイルだろうけど。
あと、内製化したら属人化するか。いいえ、SIerでも属人化ばかりです。そんなことを心配するくらいならSIerはもっと心配しないといけない。
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