経験を評価できないエンジニアは失敗を繰り返す

エンジニアがそれぞれ立てた目標管理のフォローアップの仕方はいくつかある。1つは期初、期末の中間や四半期に行うもの。もう1つが1on1のように小まめに短時間で行うもの。最後が全くやらないもの。耳にしたとことだと、最後のやらない、やったことにするようなケースがあるのを知って驚いている。エンジニアに貢献してもらおうと言う気がないのだ、最後のは。

あるエンジニアがいて、目標管理の1つのテーマに昨年成果として実現できなかったことを改善することを取り上げた。KPTのProblemをTryで挑戦するようなイメージだ。

フォローアップの面談で進捗を尋ねるとどうも様子がおかしい。何がおかしいかと言うと、改善のために作ったツールは一度作ったまま放置し、改善するはずだったことが何一つ試されていない。状況を尋ねれば、一緒にワークをする他の組織に対する文句ばかりだ。自分はここまでやった、相手のところまで足を運んで、機会を作ったのに協力してもらえない…。

エンジニアが話す内容を聴きながら、思ったことがある。

優秀なエンジニアであっても、自分の考え方を変えることは難しいのだ。そうしたことを思いながら聞いていた。

さらにエンジニアはこれで上手くいかなくて評価がされないのは辛いと言う。

このエンジニアは、自分で目標を立てたときに何が目標の本当の真因だかを突き詰めていなかったのではないか。そんな言葉が過ぎる。

目標を設定するときに定量的に設定できない場合は、具体的に何をどの状態にする、と言うようなリアリティを持った目標にしないと目標に流されてゴールを見失ってしまう。

エンジニアに伝えたことは次のことだ。

  • 話を聞いていると改善するとして作ったツールが実際は使っていないのではないか
  • ツールは手段だが、ツールを媒介にして変えたかったことができていないのではないか
  • 変えたかったことはなんだったのか
  • もし、ツールが実は不要だったとわかったら、そのツールは捨てても構わない
  • 変えたかったことをツールでできないことがわかったら、それを評価することが必要だ
  • その評価を共有することで失敗事例がノウハウになる
  • そこまでやって、目標なりアプローチをピボットすればいい

同じ思いをしたいならそのまま続ければいいが、そうじゃないから目標を立てたのだろう、と。

でも、多分、自分の考え方は変えられないかもしれない。それでも、挑戦をして上手くいかない経験を共有してくれればそれはそれで1つの成果だと思う。

 

 

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