エンジニアにとってコスパの良いスキル

ちょっとした事情があり、大型書店に行ってある分野の書籍を買い、読んでいるのだが、走りながら勉強(本などの情報を仕入れて)して、それまでの経験知だったものを体系立てて整理し直すのは、経験から知見に変換するプロセスとしてとても良い。

何より、自分の専門家としての経験と言うよりは、それにプラス方法論や手法、元となる法規などを引用した方が、そうした『専門性の知識を持っていない』相手に認知してもらう手段として即効性がある。特に、役職者の方に効果がある。

などと思いをつらつらとしていたとき、エンジニアにとってコスパの良い、それに相応したものがあるに違いないと思ったのである。

さて、何がエンジニアにとってコスパの良いものであろうか。

エンジニアが持たなければならない、専門性のスキル、コンピテンシは、

  • 基礎スキル
  • 技術スキル

がある。基礎スキルは、その人の性質に根付くスキルである。性格やそれの現れとしての行動様式も含む。気づき、意志、伝達、判断、交渉などなど。

技術スキルは、2つに分ける。

  • 手法・方法論
  • 技術の適用

手法、方法論は、例えば、システム開発手法などである。技術の適用は、言語、製品知識などシステム開発を行う上で、必要となるものづくりのスキルである。

基礎スキルと技術スキル。前者は普遍的なものであり、エンジニアその人に根付いている。どのような技術領域、ロールに変わってもどこでもいつでも使える。その意味では、ここのスキルを伸ばすのはとてもコスパがいい。

基礎スキルは身につけばコスパはいいのである。しかし、身につけ方はとても難しい。何が難しいかといえば、これを覚えれば実践できる、とはなかなかいかないところである。

例えば『気づき』は目標設定でよく見かける項目なのだが、じゃあ、『そのスキルを身につける(=実践できるようにするために)どうするの』と聞いてみると『意識します』くらいしか出てこない。精神論しかない。『チュートリアルをやったので、基礎は身につきました』と言うわけにはいかないのである。

身につければとても便利なのが基礎スキルであるが、身につけるまでは人によっては真逆かもしれない。

では技術スキル、である。こちらの、技術の適用は一言でいえば、道具の使い方を覚える、である。ノミ、カンナ、ノコギリ。そういった道具を使い、ものを作るための技術である。

システム開発で適用される技術は、時代の変遷で代替わりをする。フルスクラッチで書いていたコードは、IDEの上で書くようになった。タイポすれば教えてくれる。そんな時代である。であるから、道具を置き換えていかねばならない。

もう1つの、手法、方法論は、そうした道具を使うルールである。コードを書くために、段階的にコードを書けるように情報をこのレベルで記述する、コードはこのパタンで。コードはこのテストのやり方で、と言う風に。

こちらの移ろいは緩やかである。やはり変遷があるがとても気づくエンジニアは少ない。気づけるエンジニアは、基礎スキルを活用する人であり、何が求められているかを探求できる人である。

ここまで思考を巡らせて、結局、何がエンジニアにとってコスパの良いスキルなのだろう。

思いついたら『やってみる』スキルなのではないだろうか。