マネージャのエンジニアのキャリアへの関わり方
マネージャから見て、エンジニアはマネージャが担うビジネスを実現する最大の構成要素である。マネージャが今のビジネスをしているか、将来(数年先)を見据えたビジネスをしているかは、エンジニアのキャリアへの関わり方で判別できる。
- 症状
エンジニアの目線で見たとき、次の症状があれば要注意である。
・予算が100%稼働前提になっている
・研修に行かせない
・休むと残業を求める
・新しい技術習得に関心がない
・新しい手法、ツール導入に依る生産性の向上に関心がない - 概念
マネージャは、エンジニアの稼働の中から、エンジニアの教育に予算をつけ、実行する。これは将来のビジネスへの投資を意味し、現状のビジネスをストレッチする構成要素の1つとなる。
エンジニアの目線で見たとき、エンジニア向けの教育に稼働のリソースと研修費用を確保しないマネージャが所属長であれば、早々に異動するか組織を変わるべきである。 - 問題
・現状の資産でのビジネスであり、将来確実にビジネス的に天井になる
・将来の投資を行わないため、ビジネスは先細りするか人売りに陥る
・エンジニアのスキルが経年劣化し、技術的価値が下がる
マネージャがエンジニアの持っているスキルセットを適用するだけの業務に100%アサイメントしている場合、エンジニアは現状のスキルセットで対応できるため、業務は遂行される。これは遂行されるため問題はないように見えるが、次の観点から2つの問題のタネをマネージャ自身が蒔くことになる。1つはエンジニアの持ち合わせているスキルセットで対応できてしまうため、成長の伸び代が増えな。結果的に、将来(1年後以降の)ビジネスのストレッチに結びつかない。2つ目は、100%のエンジニアのリソースを業務に投下しているためエンジニアに付加価値を備えることができない。 - 解決
エンジニアのリソースは、100%業務にアサイメントしない。直接業務は、間接業務(休暇、事務処理、全社員向け教育)およびエンジニアの技術や手法を身に付けさせる技術的な教育に時間を割り当てた残りで行う。これは100%の稼働と比較して間接費が上昇するため、エンジニアの単価を引き上げる。しかし、これをやらなければ、エンジニアのスキルセットは付加されないから、相対的にエンジニアの価値は下がる一方になることを認識した上で、判断する。
- 作者: ポールグレアム,Paul Graham,川合史朗
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