エンジニアと健康と人生観

家族でもなければ、ほかの人の健康に対してなんか全く関心を寄せない。自分の人生にほかの人の健康と関わりが深いのが家族だから、そうであることは至極自然なことだし、家族であっても同居していなければ、便りのないのは良い便りで次第に関心も薄れていく。ネットなどで難病の方の募金が呼びかけられていてそれを見聞きしたときの方が、気になったり実際に募金することもあるだろうが、それも一時的なものでしかない。

そもそも、持病を持っていなければ、健康診断で検査の結果に多少の異常値があったとしても、自分の健康に対してなんら不安も疑問も持っていないのではないだろう。産業医に呼ばれ、病院に行くように指示され、精検して事実を知ることもなければ。

マネージャになると、健康に対する関心の範囲は少し広がる。ビジネスは、メンバのリソースが前提であるからだ。理屈では誰しも風邪を引いたり、怪我をして休むことは理解できているが、自分のメンバが長期で休むことはほとんど頭の中にない。

どちらかと言えば、メンバが病気や怪我になることを想像するより、マネージャ自身の健康の方が全く関心を持っていない。

以前、同僚が交通事故に巻き込まれ亡くなったことがあった。年下だったが、話が合い、よく話をした。当時、小さなお子さんが居られたがもう成人しているのではないだろうか。自分より若いエンジニアが先立ってしまうことはとても耐えられない。

もう一人のメンバは自分とほぼ同じ年齢だった。プロジェクトに参画していて、ある日、急に入院することになったと連絡があった。大変申し訳ないと何度も謝っていたが、それは制した。誰も病気になろうとしてなるものではないのだから。そのメンバの入院理由がまた驚きを隠すので精一杯だった。ご本人から聞いたところによると世の中には、未知の病気が2割ほどあり、それの1つだという。手術を受けられ、療養後に復帰されたが、失ったものは身体的なものもあったが、精神的にも相当辛かっただろう。復帰後の仕事も負担がかからないように時短から始め、身体的に負荷がかからないアサイメントにしたことは言うまでもない。

こうした経験をすると、病気は本人の意向に関係なく、突然襲ってくるから、受け入れるしかないことを学んだ。

要は、自分でコントロールできないことは受けれるしかないという諦念を持つことである。

先に書いたように健康診断の数値は軽く見ていた方であった。今では過去形である。尿酸値が高かった(高いと言っても1桁である)。それが週末の夜、脚の一部が異様に痛みだし、シップなどをしても全くダメで、救急病院に連れて行ってもらった。部位的には珍しい(と言ってもそれほどでもない)箇所で、薬を処方してもらった。そのあと、暫くして再発し、少し近所の総合病院に掛かり、暫く投薬を続け、数字が下がったところで医師の判断で卒業となった。

これはまだ序の口である。ボスは50歳を超えてから突然現れた。

健康診断の数字の一部が増加傾向にあり、流石にまずいと判断したらしく、保健師に呼ばれ、すぐに病院の某科に行くように指示された。大学病院などしかない科で、紹介状を書いてもらうように依頼し、産業医に用意してもらった。

精検を行うが、予測が外れ何度も検査を行った。色々と検査を行い、複合の病であると結論づけられた。

もともと、死については池波正太郎の時代小説の中で形作っていったと言っても過言ではない。人は死ぬために食べ、生きるという不条理な生き物である。そういう考えだ。

先の難病を患ったメンバでの学びもそれに重なっている。

自分に想像もしない不条理なことをふっかけられたとき、その人の器の輪郭が浮かび上がるような気がしている。

確かに、これからどうなるかはわからない。ただ、専門家である医師の提案を受け入れ、必要なら自分で知識を得て、病気をコントロール可能な範囲で進めること以外は受け入れるほかない。

当面は経過観察しかないのであるが、自分の身に降りかかってくると、それはそれでリソースの集中とやりたいことの実現をいかにしていくかを考えさせられる。

コントロールできないことにリソースを費やすのではなく、できることにリソースを投下する。効果が期待されるのであれば、それをやってみる。

元来、長生きをするつもりはない。60歳前半くらいがちょうど良いのではないか。そんなことを言っている輩に限って長生きする。それは勘弁願いたい。

家族はたまったものではないかもしれないが、今となってはいくつまで生きられるか知ったことではない。とは言え、これがまた悲観的にならないのは、コントロールできないことよりコントロールできることを楽しめているからである。

それはそうと、ガルパン劇場版最終章第2話は表情は良いし、緻密な密林の描写にはことさら関心するばかりである。

 

 

男振

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「Grand Symphony」 (特典なし)

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