センパイと後片付けと運用ルールと


次に使う自分のために始末をすること。
始末が面倒なら、もとのプロセスのどこかにバグがある。


「誰か、プロジェクターどこにあるか知らない」
「プロジェクターですか、打ち合わせコーナーにありますよ」
「ああ、ありがとう。みんな、頼むから使ったらもとに戻して」
「それわたしです、センパイ。出したり片付けたり面倒なので出しておくことにしました」
「うーん、ほら、幼稚園で習っただろう。出したら片付けないと」
「でも、今時プロジェクターを常設しないのはいけてないですよ」
「いけてるとか、いけていないとかじゃなくて、お作法の問題。出したら片付けるの」
「なんでもそうですが可動部があるものは使う状態で設置したほうがいいんですよ。あのプロジェクターだって高さの調節部分なんて壊れやすそうですし」
「だけどさ」

「壊れたら、片付けても仕方がないじゃないですか。バカなんですか、センパイは」
「だからって、バカなんて」
「バカだからバカなんです。わたしには柔軟に考えて行動しろなんていうくせに」
「あーわかったよ。もう、いいや、プロジェクトコストで大型のディスプレイ買っちゃおう」
「そんなのいらないじゃないですか。プロジェクターがあるんですから。なに無駄遣いしようとしているんですか」
「プロジェクトのバジェットはオレのお財布だからいいの」
「意味のないお金の使い方はダメです」
「お母さんみたい…」

「なんでプロジェクターを出しっぱなしじゃダメなんですか」
「月次のときに別の場所で使うからだよ」
「そう言えばそうですね。じゃあ安いのを買いましょう」
「なんでプロジェクトマネージャのオレに指示しているのかな。プロマネはオレなのに。40inchの買っちゃおう。だいぶ安いし」
「バカですか。そんなにコストの余裕あるんですか」
「うっ、自慢できるほどはないけど」
「じゃあ、32inchまでにしてください。29とか27でも十分でしょ。どうせ内輪のミーティングで使うんですから」
「なんでこんなに責められているんだ…そうだ、ちゃんと片付けないことからこんな話になったんだ。ちゃんと片付けてね」

「その話は終わったですよ、センパイ」
「終わっていないから、運用を変えるなら朝会で言ってくれないと。知らない人が探し回るでしょ」
「そう言われればそうですね。次はそうします」
「そういうのは金曜日のふりかえりで出してくれればいいのに」
「それまでわたしに我慢しろってことですか。しませんよ、我慢なんて」
「それはダメだって。メッ。いい、みんなで同じ運用で動いているんだから。変えるならみんなで合意して変えないと。これはルールなの」
「いいじゃないですか。よくしようって考えて行動しているんですから」
「いくら良くしようと思って行動していても、全員で変えていかないと暴走しているのと一緒。いい。変えたいならみんなと一緒に」
「はいはい、わかりました、センパイ」
「jはいは一回でしょ」
「どっちがお母さんなのかわかりませんね、センパイ」