プロマネを育てる三要素

プロジェクトマネージャはなかなか育たない。そういう声を聴く機会は多いですし相談を受けることもままあります。よくよく聴いてみるとプロマネが育たないと嘆くマネージャはプロジェクトマネージャ候補自身を育たないと批判していることの方が多いのです。

では批判をするマネージャに対してどのような育成をしているかと投げかけると自分は誰かに育ててもらったことはないというのです。自分自身の実力でプロジェクトマネージャになった、と。それをプロマネの実力というなら、マネージャが実力のあるプロジェクトマネージャ候補を選抜すれば良いのです。そうしたら、候補が育たないと不満を言い触らす必要も無くなるでしょう。

プロジェクトマネージャを育成する必要に迫られているのは、プロマネを必要とするビジネスサイドの要求に起因します。ビジネスを広げるためにプロマネが必要という構造である限り、プロマネ育成のニーズはなくならないでしょう。

でもそのプロジェクトマネージャを育成するマネージャが育成方法を知らないのであれば、プロマネを得るのは偶然に頼る方法しかありません。

プロマネを育てる3要素

プロジェクトマネージャを育てるには3つの要素が必要です。1つ目は、プロジェクトマネージャ候補自身がプロジェクトマネージャになろうとする意思を持っていることです。2つ目はマネージャがプロジェクトマネージャ候補のサポートです。そして3つ目は、実践の場です。

これらの3つの要素が揃わない限りビジネスサイドがいくらプロジェクトマネージャを欲しいと思ってもそれで得られるプロマネは自然発生的に、偶然でしか得られることはできません。エンジニアリングの延長線上でのプロジェクトマネージャを育成しようとするのであれば、プロマネを育てるためにはこの3要素が揃わなければなりません。

プロマネ候補の意志

少なくとも本人がプロジェクトマネージャの候補になっていることは認識していなければなりません。人は意識することで視界に入る情報が変わってきます。プロマネの候補であるという認識は、プロマネに関連する情報を自然と見える風景や情報の中から無意識に選別をすることを促すからです。

マネージャのサポート

困るのがマネージャが俺が育てるという自己の経験を押し付けることです。それはマネージャが試行錯誤して得た暗黙の知であって体系化された形式知ではありません。暗黙知の場合、拠り所はマネージャしか知りませんから、プロマネ候補が自ら学習しようとしたいときにリファーできませんし、マネージャしか知らない知識を共有することができないのでマネージャの指示は理不尽にしか感じられません。

マネージャはあくまでもプロマネ候補をサポーツする黒子に徹するのです。

実践の場

いくら本人がプロマネになる意志を持っていても、マネージャのサポートがあるとしても、経験する場がなければ身に付けることはできません。素振りをしなければ、実践で振り回すこともできませんし、実践で振り回さなければ、どれだけ振り回す実力を身につけているか検証することもできません。

マネージャは、プロマネ候補が実践するべきスキルとレベルに合わせたプロジェクトにアサインする必要があるのです。