信頼を削らせないチーミング

これまでのチームビルディングに何かしらの形で関わった経験から言えば、チームとして召集されたメンバは最初ニュートラルなポジションで心持ちで集まります。

集められて顔を見る前から業腹になることはないのです。何かしら腹がたつことがあってそれを(原因が人なら)その人や他の言いやすい人に当たるのですから。

まあ、それは物事が進んだ後に起きるかもしれないことなのでまずはチームミングすることろから。

チーム内でのSOW

チームを編成するのは1人でプロジェクトを終わらせることができないほどの技術的、物量的、時間的な制約があるからです。プロジェクトの目的を達成するための要素を把握し、それを実現できる様々なリソースを調達してプロジェクトは立ち上げられます。

チームメンバには、メンバが持っているスキルやスキルレベルとチームとして必要とする役割を紐付け、メンバ一人ひとりに明確な役割、行動計画、達成する目標を期待し、担わせます。

これはメンバ一個人だけに伝えられることはなく(裏の目標、例えば個人のチャレンジなどは除いて)チーム内で共有されるものです。

つまり、チーミングされたメンバはそれぞれのメンバが果たすことを期待されている役割を共有していることになります。

ところで、こうしたメンバの役割を曖昧にしてプロジェクトチームを立ち上げるプロジェクトマネージャやリーダをよく見かけます。曖昧なSOWでスタートすることはプロジェクトの進度が進むにつれて、作業が詳細化、具体化されるときに誰の役割か明確でない作業が追加されたときに揉める原因になるので最初からバウンダリは仮置きでもいいので決めておいた方が良いです。実際の運用では、負荷をみて平準化すればいいので。

明確な役割の意味

メンバに明確な役割を与えるということはメンバ自身がその役割の作業に対して意義を見出すことにつながります。これはメンバがその仕事に対して責任の認識に繋がるものです。それもあり、役割を明確にすることに意味があるのです。

後工程で待っているときの期待

役割分担することでメンバは自分が担う作業を通じて意義づけし、作業に対する価値観を醸成します。

通常作業は作業ごとの作業品質を確保するプロシージャ、つまり、作業プロセスを経てチームのメンバが同じ工程の同じ作業でそれぞれが同程度の品質を確保するために活動します。

そしてその活動は、合意されたタイムボックス内で終わらせることがメンバそれぞれ期待していることを備忘しなければなりません。なぜなら、作業は後工程で別のメンバが待っているからです。

期待=信頼

他のメンバが担う結果に対し、そのメンバの作業がチームのルールに準じて行われ、合意されたアウトプットの品質を確保され、合意されているタイムボックスの中で完了されるという期待をしています。

それは、実現されるまで、期待する結果を得るまでの間であって、期待どおりに結果を得られればそれはまた次の作業にキャリーオーバーされます。

実現されるまでに起きる進捗を妨げる障害は、誰の作業にもでも生じます。得てして手を抜いたり、関心していなかったり、優先順位を下げていた作業のモニタリングをしていなかったりする場合に起きやすいものです。

そうした半ば不作為のために進捗を妨げる障害が起きたとしても、おかしいと気づいてすぐに共有されるのであれば、作業を担うメンバの作業に対する期待は毀損されることはなく、問題がチームに共有される問題にクラスアップされただけで済みます。

ところが合意されているタイムボックスギリギリになってから、若しくは、他のメンバの指摘により共有されると期待が毀損して行きます。

 

ここで期待していたメンバが持っていた信頼が削られて行くのです。

 

チームのメンバが違和感を持ったとき、誰もが安心して進捗の障害となる事象を共有する行動がメンバにとってリスクではない環境を作ることを宣言し、全員がコミットする儀式を(わざわざ儀式としてでも)行うことは、将来、メンバがチームに対する信頼を維持するために必要だと思うのです。