「変わるもの」と「変わらないもの」にどう立ち向かうかのヒントを見つけよう
まず、変わるってどういう意味かを確認しましょう。
一面的にしかものを見る癖がついてしまうと、辞書を引く前から一方的なものの見方、解釈の仕方しかできなくなってしまうので日頃から360度のビューワをぐるぐると回すように、ものを見るポジションを次々と変えられるように繰り返し試しておきましょう。
特に、エンジニアではない、別の役割、例えばマネージャ、顧客などの立場なら世界がどう見えているかを感情的な部分を切り離して意識を切り替えられることは日常の業務で有効なスキルになります。
それで、変わる=変化という言葉の意味を確認しましょう。
へん‐か〔‐クワ〕【変化】の意味
[名](スル)
1 ある状態や性質などが他の状態や性質に変わること。「時代の変化についていけない」「変化に富む生活」「気温が急激に変化する」2 文法で、単語の語形が人称・数・格などに応じて変わること。「動詞の語尾が変化する」
どうして、役割を意識した視点の持ち方に触れたかというと、変化するということには、良い悪いという捉え方は間違いで、状態が変わるという捉え方をしなければ判断自体を誤ってしまうということがあるためです。
よくやってしまうのは、変化したときに基準を持たないで良し悪しを印象だけで考えようとしてしまうことで、その前には、変化することを評価するということが目的となっているかどうかで評価するしないをしなければならないということです。
言い換えれば、変化すること自体を意識して見る必要があるかどうかということなのです。
登場人物を揃える
エンジニアビューから見たときに状態が変わっていくものを登場人物として書き出してみましょう。
人物系(状態)
- エンジニア自身
- チームメンバ
- チーム
- 組織
- 顧客
人物以外(質)
- 経験(習熟度)
- 能力(できること、できるレベル)
- 技術(高度化)
- 価値観(判断基準・開発スピードなど)
ざっくりと思いつくままに書き出すとこんな感じでしょうか。
さて、エンジニアを取り巻く要素全てがそれぞれで登場人物(状態)や人物以外(質)が変化する要素を持っていることに気づいたと思います。
これは仮にエンジニア自身が変わらないとしても、エンジニアと普段から接する登場人物が変化していくし、エンジニアが使う道具も質が変化していくのです。これでエンジニアが何も影響を受けないでいられるでしょうか。
こうしてエンジニアを取り巻く登場人物を取り揃えてみると、もはや変わらないという考え方自体が間違っているような気がしてきます。
「変わる」源泉は何か
では何が源泉となってエンジニアを取り巻く状態や質が変わっていくのでしょうか。
それは時間の経過とともに経験知を積み重ねていくためだ、と思うのです。つまり、エンジニアとして生きていく以上、変わることが必然であり、状態や質を変えないということは、逆行する考え方である、というものの見方です。
「変わる」「変わらない」を取り違えている
状態や質を変えないという行為は、実はシステム開発ではよく行っていることです。
例えば、品質は、要求される品質へ到達している状態を維持しようとします。例えば、チームは作業で期待する成果を一定のレベルで得られるように活動をします。
これは普段変わらないと思っていることは、実は変わっているということであり、変わったと印象を持つことは、変化のスピードが体感できるほど状態や質が変質したということなのです。
更に言えば、変わらないということは状態や質を維持するために、刻々と変化している状態や質をリソースをかけて維持しているということになるのです。
これは、放っておいても無意識で変化するというということに対する、エンジニアが実現したいことをどう定義するかにかかっているということです。