エンジニアの思い込みバイアス

なんでもそうなんだが、仕事になっているかなっていないかは、自分でそれをたとえ机上だったとしても試したかどうかで見極められるのではないか。

以前こんなことがあった。管理部に依頼事項があったのだが、依頼したことに対して明後日の回答が戻ってきた。たまたま管理部門がいる場所の側まで行く用事があったので少し早めに行って、その部門に足を運び、なぜそんなことになっているかを尋ねてみた。

人は知っていることでしか結論を導くことができなことは何度かエントリとして書いてきた。まさにそれであった。管理部門の担当者は、自分が知っていることだけでこちらの依頼を判断し、返してきたのだった。

このことからの教訓は、(特に普段コミュニケーションを取っていない相手に対しては)背景も一緒に伝えるか、先に背景を説明した後に依頼をした方が良いということだ。

こうした経験による思い込みへのバイアスは、エンジニアの仕事でも起きる。殊更、ユーザの操作など人が絡むところで発生しやすい。

エンジニアだからシステムとしての仕組みの作り方を知っているし、これまでにシステム化した業務の経験から「こう作るものだ」と思い、仕様を決めてしまうのだ。

でも現実には、エンドユーザごとの組織ごとに文化が違う。文化が違うということは意思決定の判断が違うということだ。

そこに過去の経験と技術サイドの都合を持ち込んだらどうなるかは想像がつくだろう。

エンジニアにコミュニケーションスキルが必要だというのは、こうしたことを対立するのでも媚びるためでもない。作って欲しいものを作るためである。もちろん、自分で自分が設計したものをドッグフーディングするのは当然としても、それがそれで良いのかどうかは、システムを使うエンドユーザに使ってもらうしかない。

舞台裏で一生懸命作り込むよりも先に、動くものを触ってもらった方がいいのはそういうことだ。

 

 

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