運用保守のエンジニアは若手のうちに継続的な自己研鑽を身につけないと詰む

ある調査レポートを読んでいたら12.6%だと知り、実感していたよりも少ないというか、多いというか。何かと言うと継続的な自己学習に取り組んでいる従業員の割合である。継続的というキーワードを外すと、33.1%となる。

どうりで勉強会やカンファレンスの顔ぶれが同じな訳だ。もちろん、知っている知人ばかりやその場で知り合いになった方々としか交流がないからかもしれないが。

エンジニアの学習の機会は、組織が行うOJT、OFFJTと個人が取り組む自己研鑽に大別できる。組織の行うOJTは業務の経験を介して業務遂行能力を身につける。OFFJTは、業務から離れて、座学などで知識を身につける。

個人であるエンジニアが行う自己研鑽は、ハンズオンなど模擬的に技術を習得する方法と書籍や勉強会などで知識や知見を得る方法がある。

言われてみればそうなのだが、組織は若手に手厚く学習の機会を設ける。それは、従業員に対して技能を教育することで労働力としての価値を高め、業務で成果を出して欲しいという事業上の目的があるからだ。

中堅以降になると一人前の従業員として不都合なく業務を遂行できるから、継続的な学習の機会は不要になる。残るのは従業員全員に守らせたい、コンプライアンスなどのようなものだけになる。

ではどのような状況におかれた人が自己研鑽に取り組んでいるのか。前述のレポートでは、日々の競争に晒され、常時、新しい技術や知識の更新を求められる業務についている人としている。

ここで思いついたことに、エンジニアでも継続的な自己研鑽に取り組む人と一切勉強をしないエンジニアに分かれている。前者は配属されている事業自体の競争が激しく、技術の更新を継続していないと事業自体が危なくなるという危機感を持っており、後者は、アサイメントされている事業は安定しており、ことさらに新技術を要求されないという背景があるのではないか。

IPA調査によれば、平均で保守運用費は58%、新規投資は42%であるらしい。思ったよりは、新規投資の割合が多い。冒頭の学習をしている人の割合は継続的であるかは問わないと33.1%であるから10%程度の差でしかない。

新規投資が全て競争に晒されている訳ではないことは当然としても、新規投資に関わる事業を行なっているエンジニアの方が新しい技術の更新を行わなければならい業務上の要求も強いことが想定される。

邪推すると、運用保守費で賄われるシステムにアサイメントされたエンジニアは、業務上の要求が少ないことが想定されるため、若いうちから継続的に自分で自己研鑽する習慣を身につけないと、気づいた頃には組織が教育を行うのはコンプラの面白くもないスライドをめくる講座だけになっているかもしれない。