『なんでも相談して』は相談して欲しい側から相談する

新しいメンバが入ったとき、困っていそうなメンバを認識したときにいうセリフが『なんでも相談してね』『なんでも聞いてね』だ。

もっと使いそうなシチュエーションは、朝会やスタンドアップミーティングで進捗が芳しくないメンバに、なんら裏の意図もなく、ただ自然に『困っていたら相談して』的な物言いをするケースである。

聞く方としては、同じチームのメンバだし、困っていたら本当に助けたいし、相談に乗れることは乗りたいと思って言っている。少なくとも、それは君の仕事だから、というドライな線引きでは言っていない。

では、それで実際に相談されることがあったか。

相談された内容はなんだったか。

着任したばかりのメンバだったら、質問するのは物理的に必要な情報で占められる。担当するタスクに必要だと思う情報、前の経緯がわかる資料、そう言ったもののありかや知っている人を教えてくれという。あとは手続き的なこと。これをして良いのか、あれはどうか。

共通しているのは、可視化されていない、察することができない情報を手にれる手段を知りたいだけである。

このようなケースは、相談をして欲しいと言っている側から見れば、本来想定している相談内容とは違う。

リーダのエンジニアやプロジェクトマネージャが言う『なんでも相談してね』はそのエンジニアが仕事を着手できるかどうかである。とにかく、仕事のスケジュールはこの瞬間も進んでいるので、すぐに立ち上がって欲しい。だから、立ち上がりで困っているなら聞いて欲しい。

ことが手遅れになる前に、進捗にインパクトを与える前に報告して欲しい、と言う意図で言っている。ただ、これは言っている側もそれを意識しては言っていない。まずは仕事が進められるように、のくらいのつもりで言っている。

その意図、観点で言えば、着任して仕事をできる状況が揃うまでは、意とする『なんでも相談してね』の条件が揃っていない。

タスクのチケットを渡すのか、取ってもらうのかはさて置き、

『タスクを始めるために必要な情報が揃っているかそれを判断できるか』

を尋ねる方が暗黙に心配している『なんでも相談して』よりは数倍いい。

 あと、『なんでも相談して』は言った側は待っていてはいけない。言った以上、こちらから、立ち上がるまでは声を掛ける。声を掛けるのも、言った側でこのくらいで何かしら情報を整理できるだろうの少し前くらいに仕掛ける。

トイレから戻るときとか、ランチに誘って注文が出てくる前くらいとか、無防備なところで聞き出してみる。ガードが下がっているところをわざと狙う。

それで、本心ぽいところから状況を聞き出して、リーダが対応できるならすぐ、その場で対応する。すぐ、がポイント。(相談をしていないが)体感として相談をすると助けてくれると言う経験を刷り込むのである。

なんでも、最初の体験が肝心。