テーラリングできないとゴミだけが残る話

少し前に某組織の業務を整備し直すタスクをやったのだが、殊の外興味深かった。

端的に言えばこういうことがあったらしい。らしいと書かざるをえないのは、それがあったのはjoinする前だったからである。だから全てその頃の話は伝聞と妄想でしかない。

  • ある業務について本格的に取り組むことにした(らしい)
  • 制度を整備すること(が目的だったはず)になり、認証を取ることで対外的にアピールしようとした(ようだ)
  • ところが、その業務の知見を持っている関係者は誰1人いなかった
  • コンサルを入れ、テンプレートをもらい、表面だけ修正して規程とした
  • 審査はくぐり抜け、認証は受けた
  • 翌年の業務運用はほとんど手がついていない
  • その認証を受けた当時のメンバは辞めたり、異動している

まあ、酷い話である。

この件に限らず、これはエンジニア界隈でも起きる。

例えば、プロジェクト運営やシステム開発が上手くいかないので何かいいやり方がないかと尋ねられる。組織の中でプロフェッショナルなエンジニアやコンサルやアーキテクト、プロマネのベテランなら、そういった現場のお困りごとを相談される機会は度々あるだろう。

困っているから相談しているのだろうと、よくよく話を伺って、持ち合わせている知見や実践知から『こんなやり方で上手くいったがどうか』とアドバイスをすると、

『それはうちに合わない』

などと頭っから拒否る人が一定の割合で存在する。お前は自分のお困りごとを解決するつもりはないのか、と小1時間くらい問い詰めたい衝動に駆られるが、時間の無駄だとフラグが立つのでやらない。

こういった人たちは、前述のコンサルのテンプレをろくに咀嚼も消化もせずに飲み込む人たちと同類である。

カンバンも然り、ふりかえりでも同じ。

手法や方法論の抽象度が高いのは、いくつもの案件で揉んで、共通項だけにしているからだ。個別案件の要素を残していたら、それこそ『うちには合わない』になってしまう。

だからこそ、自分の環境に合うようにテーラリングをする必要が出てくる。

それをしないのは、無作為としか言いようがないのであるが、それでは課題の本質を理解して、それを解決する手段をデザインも実効性のある運用も、自分で作れないと言っているようなものだ。

課題の本質を理解していないから、実行可能性のある業務運用にはならないし、運用フェーズに入ったとしても運用されることはないのである。

テーラリングをできずに残るのは、運用されないドキュメント、運用できない制度に放置された現場である。

 

 

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