見えない鎖を自ら繋ぐSE
今のITビジネスは分けるとすると2つに分類できると思うのです。1つが従来の人月売りのSIビジネス。SIビジネスと呼んでいいのか別の呼称があるの判別しないけれど。2つ目がWebサービスやアプリなど自社プロダクトを提供するビジネス。これ別に新しものではなく、元々はパッケージソフトウェアが供給手段がメディアからWebに移っただけなんだけれど。こちらも一括りにする名前があるかは知らないけれどここではプロダクトビジネスとしましょうか、便宜上。そうそう、エンプラのパッケージでカスタマイズしないと機能しないプロダクトは2つの間くらいなので面倒だから棚上げしておきます。
SIビジネスは何を売っているかというと契約書を見れば結局SEの時間を売っているのですよね。なぜそう言い切れるかといえば、提供時間を記載した契約書が多いいから。そして、客先常駐がほとんどで、提供時間だけ座席に座っていることが顧客が理解できるお金に変換できる単位だから。
一方、プロダクトビジネスは(提供手段は別にして)パッケージを買ってPCやサーバにインストールして構成すればあとは使えたり、それもいらないで使えるソフトウェアですから、顧客はプロダクトの対価と実現できるだろう機能を交換しているわけです。そうだとしたら、プロダクトビジネスは価値を売っているということになるわけです。使ってみたら…は見る目が顧客になかったということで。
見えない鎖繋ぐのはSE
SIビジネスは、時間を売るビジネスです。提供時間=人月いくら、で売るのですから。営業がいれば営業から、いなければマネージャからどこそこで
「160時間働いてこい」
「180時間で契約したから」
「残業は請求するからどんどん働いていいよ」
と言われて送り出されるんですよ(ほんとかな)。
そう言われると仕事ですし、普通に人が良いから言われた時間は常駐先にいないといけないと思うんです。SE自身が自分に対して勝手に思い込むんですね。契約だからいないといけない、と。
これ、SE自身が自分で自分に見えない鎖を繋げているんですよ。確かに契約では提供時間が書いてあるかもしれないけれど、派遣のような時間制の契約でなければ風邪引いたりインフルエンザで1週間休んでも文句言われないですし精算なんてそうそう言われないですよ。その事務手続きの方がコストが高いし上司や関係文書に説明が必要だし。だったら、翌月に辻褄合わせてと言いますからね。買う方は。
提供時間=価値になると
SEの頭の中で時間が価値になると常駐先で仕事をするために自分の時間を配分することが優先順位がトップになるんですよ。SEが考える価値のあるもの=時間です。プロダクトビジネスのSEが考える価値のある使える機能を苦労して捻り出して実装するのとは対局にあるわけです。
ここまでちょっと若干修正しようと思うのでタイトルの意味合いはこんな感じです。
時間=価値は多くの時間を提供することに価値を見出す
が言いたいことです。
これ、SIビジネスのSEは自分で見えない鎖を自分で喜んで繋ぐから定時を過ぎても現場に残って仕事をする。多くの時間を提供することが契約だ、サービスだと信じているから自分の時間をどんどん削っていくんですよ。
定時で帰るのと残業を2時間した後にできることが違うんですけれどねぇ。
時間=希少価値なリソース
と捉えるとこれまた変わるんですが。でも、提供時間がrevenueになるから長時間提供しようと働くんですよね。そんなに急いでどうするの。同じ成果を出すなら時間をかけた方が良いものができるじゃんとかよくわからないことを言い出す始末です。
提供する時間が短ければ短いほど良いはずなんですけどね、特に顧客やプロダクトビジネスのSEの視点なら。
その視点を持てるようになると、自分の持ち時間は誰でも24時間で、1人月フルフルで働くなら短い時間で成果を出して文句を言われないようにしておいて自分の売られていない時間を活用しようと思うんですよ。
だから定時で帰って技術習得をしようと勉強会に行ったり、コミュニティに行って情報を収集して「自分の将来の価値」をあげられる方に時間を使おうと考えるんですよ。
でも、SIビジネスのSEはそんなことやっていられない。だって、自分で見えない鎖を繋いでいるくらいですから、自分の価値を上げる時間を作れないし、気づく機会もないのです。だって、その常駐先にいるSE全員が同じように考えているのですから。