かえるエンジニア
マネージャの時間
今時のエンジニアのキャリアをフォローしたり、スキルを伸長するために1on1をやろうとするとマネージャから見たときの管理スパンは狭まる。頑張って8人。1on1を週次でやろうとすると週に1on1だけで2時間取られる。
必要な時間の使い方だが、だからと言ってメンバが増えてマネージャの仕事が1on1だけで大半になったらマネージャの仕事ができない。では回数を減らせばと思うかもしれないが結局、メンバをどれだけ抱えるかで1on1だけで占有される時間が左右される。
ただ、それは1on1なり、育成に時間を使っているマネージャの時間の使い方の話である。エンジニアに時間を使わないマネージャだっているものだ。
育成に対する価値観
今頃のマネージャ自身、1on1なんて受けてはいないだろう。いたら、それは20代のマネージャやVPoEかもしれない。1on1は、ここ数年、情報として流通しているのだから。
育成に対するポリシーか考え方か管理手法として、エンジニアの育成を伸ばすと思っているマネージャがいる一方、自分はあたかも自分一人で育ったのだから、メンバも自分で育つべきだと考えているマネージャもいる。勝手に育つものだと思っている。
ビジネスの形態
SIerやSESでオンサイト、つまり常駐で仕事をしていると、エンジニアの稼働をマキシマイズしようとするから、業務時間での育成に掛ける時間はあと回しになる。
まずは、契約を履行する、エクストラチャージする分があるなら、やって請求する。結果、エンジニアに対するスキル伸長の機会は限りなく少なくなる。
エンジニアの日常
最近、中堅のエンジニアに自分の新しい価値はどこで増やすかを尋ねてみた。消費税対応をしており、家に帰ると何もやる気が起きないのだという。週末は、イベントがあれば出かけて、それが生きがいなのだという。それは嗜好だし、趣味は多い方がメンタルで追い込まれたときの保護エリアになるので必要なものだ。
では、40代でどんなエンジニアになりたいか、50代ではどんな仕事をしていたいかを尋ねると、考えたことがないのだという。これはこのエンジニアが怠惰だからではない。
このエンジニアは、業務の時間内で必要な技術を覚えてきた。ある意味理想であり、ある意味、時代から遅れている。理想なのは時間の使い方。勤務時間内の業務の中で必要とする技術を身につけているのだから。
一方、業務で必要とする技術しか身につける機会がない。イケている業務か技術を使っていれば幸運だが、そうでなければ市場価値がつかない。需要がないからである。
心地よい大釜
エンジニアのスキル伸長に関与しない、業務の時間の中でしか技術に接しない、自分の将来像を想像しない中で、スキルを使い続けられるエンジニアは、湯加減の良い大釜のなかでゆっくり、温まり続ける。
心地よい大釜はいつまでも続くことを疑わない。
実際、いつまでも続くかもしれないし、突然、心地よい大釜は割れてしまうかもしれない。