エンジニアのコンフォートゾーン

あるチームの3人のエンジニアを見ていると興味深い。

リーダ役のエンジニアは、気負ってか習慣でか、スタンドアップミーティングを無意識に仕切りはじめる。語調も少し強いなと受け止めてしまう感じを受ける。そういう感じで続いているのだろう。ほかの2人のメンバは自然と受け身になる。ギスギスした感じはないのだが、場の支配感が漂っている。

古参のエンジニアは、自分の興味もあることしか話さないし、立つポジションが少し離れている。話し方は一見丁寧に聞こえるが思い込みが激しいから、噛み合わない。

中堅エンジニアはカンバンの前に来るが自分から話すのは大体最後で、言葉数も少ない。

この3人は仕事の結果は出しているが、たぶん3人が持っているパフォーマンスには到底届いていないだろ。思っているパフォーマンスが出ていないのは、仕事の特性もあるが、スタンドアップミーティングで表面的なコミュニケーションしか交わしていないからだ。

リーダのエンジニアはリーダーに役割を果たそうといているし、そう振る舞っているもののメンバに自分の評価の色眼鏡越しに覗いて歩み寄ってくるのを待っている。古参エンジニアは、まあ。中堅エンジニアも借りてきたネコのつもりなのかもしれない。

場は用意されているものの、そっぽを向いていたり、恣意的に距離をとっている、ように見える。

3人に必要なのは、自分のことを自分の言葉で話すことではないか。どうせ理想の状態ではないのだから、リセットしても今の仕事に影響はでない。

エンジニアはもっと自分のことを話した方がいい。できることと、やりたいこと、価値観。特にイズムは自分から話しておきたい。

  • できること(スキルセット)
  • やりたいこと
  • 自分のエンジニアとしてのイズム

チームで一緒に働き、チームのパフォーマンスを振り切りたいなら、相手の価値観に合わせながらアウトプットを引き出さなければ期待はコントロールできない。

価値観に合わせるということは、自分から相手のゾーンに踏み込まなければならない。見えないゾーンは、言語化された価値観で探りながら詰めていく。

探るのも難しいことはしない。相手のスキルを活かせる相談を持ちかけるのである。

相談するという行為は、自分のできないことを晒す。相手の持っているスキルを認めることを公に見せる。相談したいことは解決できないかもしれないが、一緒に顔を向かい合わせて何かしらアウトプットを出すプロセスを体験すると心理的安全性が生まれる。ここまできたら、表面的でない、議論が出来る。ビジネスラライクにやってもいいが、それは対外的なフォーマルな会議でやればいい。

我々は、チームのパフォーマンスを正常にしたいのである。だから、コンフォートゾーンがないのならば、作って仕舞えばいい。