プロジェクト・チキンレース

プロジェクトマネージャをやり始めたころの経験談を少し違う切り口で。

要点

  • 遅れているとは言いたくない
  • プロマネ自身でスケジュールをクラッシュさせる

エンジニアが進捗を遅れていると言いたくないのと同じようにプロマネも進捗を遅れているとは言いたくない。

エンジニアはプロマネに進捗の予実を報告するが、そこであるがままに報告されないと認知できないから、結果的に予実の較差を孕んだままプロジェクト全体として報告する。

プロマネは顧客にプロジェクトの進捗と遅れていれば対策を示す。大切なことは、予実を把握していて、プロマネが対策を打ってあると顧客にあれこれ言われる前に宣言することである。

先手必勝。

遅れている、何もしていないとわかると、誰でもが思うように、対策をしないのか、どうして起きたのか、横並びでプロジェクト内の点検は必要ないか、など後ろ向きな指摘が出て、そこにリソースを割かざるを得ない状況になってしまう。

プロマネが遅れていないと言いたくないのは、余計なことをしたくないからであるし、実際、余計なことをやれるリソースもない。そんなリソースがあるなら他に回したい。

プロマネも人の子であるから、いい格好をしたい。

プロジェクトをやっていれば、顧客と毎週のように進捗や課題を確認していれば、あれこれちょっとしたことをやって欲しいとお願いされる。

最初に、要望を受け入れるときのプロセスを明示しておいて、要望を双方で吟味し、それに係る全ての費用を請求するようにしておくことがプロマネの仕事でもある。

追加でない、もともと顧客の分担の仕事の進捗遅れもままある。

実はこれもリスクである。

「いつまで待ってもらえますか」

と聞かれるとプロマネなので即答しなければ全体の進捗を押さえていないと思われてたらどうしようと頭をよぎる。

つい、もう1週間なら、などと約束してしまう。

これもプロマネがいい格好をしようとしたからである。

 

プロマネは内心、行けるかな、行けるよな、とスケジュールの限界に挑戦するチキンレースを始めてしまうのだ。

 

結果、何が起きるかといえば、エンジニアのスケジュールを前から潰してしまう。

これも冷静に考えれば、エンジニアのスケジュールを確保すべく、後続工程の作業の一部をバーターするかプロジェクト費用の追加を打診すべきである。

柔軟な対応としては、1-2日までなら良いがそれ以上は無理だと言うべきことである。

良い格好をしようとするとプロマネ自身でスケジュールをクラッシュさせて壊してしまう。