エンジニアの頃とプロマネになってからの意識の違い

プロジェクトマネージャをやるようになってから、エンジニアの頃の意識の違いを感じるようになったのは、計画と進捗の実績の較差だな、と思う。

 

この計画と実績の較差を知りたいと思うのは、プロジェクトはリスクを識別して、コントロールすることが全てだとわかったからである。

 

進捗、計画と実績の差と言うと、ほとんどのエンジニアは顔を顰めて背けるかもしれない。何しろ、進捗会議や朝会や夕会などで予定の作業は終わったかとチーム全員の前で、現実の進捗を聞かれるのだから。

 

自分の若い頃は、ろくにテストが進んでいないのに、どうリカバリするかと詰められたくないから、出来ていないことを自ら懺悔などしたくないと思えば、なかなか進んでいないけどオンスケですかね、などと惚けて自分の首を絞めていた。

 

こんな杜撰な言い訳で煙に巻けるようなプロマネも大概、パチモノか、なんちゃってでしかない。

 

計画と実績の較差(格差ではない)は、2つのリスクが隠れている。1つは、スケジュールは納期までに収まるのか。もう1つはコストは計画どおりになるのか。

 

プロマネをするのは、結局のところ、その2つの観点を見ているだけに過ぎない。PMBOKでEVMSだとかなんだとか計算しているのは、プロマネが現場を把握しきれないからで、それを数字で代替しているだけの話である。

 

いくらプロマネが現場を把握して予実の較差を知るとか、把握できないから数字で把握しようとしても、(過去の自分のように)出来てもいない架空の実績を実績として報告してしまうと、そうした数字はチームとしていくらでも膨張してしまう。

 

だから工程設計を標準化して、作業ステップのどの作業を終えた(Doneした)のかとか、ステップを加重して計画値と較差を捉えるとかするわけだ。ただ、SIプロジェクトでこれをわかってやっているプロジェクトに出会ったことは過去にそれほどない。ほとんどは、工程設計の標準化をしていないし、することの意味もわかっていないし、知識を持っているプロまねも少ない。

 

こうした考え方は、理想に過ぎないとか思うかもしれない。だけれど、工程設計を初めからしてあって、たとえ途中で改善することがあったとしても、全くない状態で工程を始めて工程終了直前でダメ出しをされてて戻りするとか、進捗は実はありませんとかテロのようにしれっと現実を知るよりは、1000万倍ましである。プロマネは、アクティビティの実績がリニアになれば、エンジニアからアクティビティにフォーカスできるようになる。

 

これはエンジニアにとっても同じ価値がある。何しろ、チーム全員が同じプロセスをすることになるが自分の進捗を取り繕う必要から解放される。嘘をつき、それを破綻しないようにする必要がなくなる。それはエンジニアとして向き合うのではなく、アクティビティで会話できるのである。

 

もう1つのリスクはコストである。これは進捗の予実に密接に結びつく。化石時代のプロマネは予算消化の推移と進捗の予実の較差を紐付けない。だから進捗がオンスケでもコストオーバーランになる。

 

これは予定の作業時間内で予定したアウトプットが仕上がらなければ、自動的にコストオーバーだと認識するところから始まる。これのコントロールをアクティビティごとにやり過ぎるとプロマネもエンジニアも苦しくなって窒息死する。

 

だからプロジェクトの工程単位やマイルストーンで括り、バッファをもつ。ここでCCPMの考え方を使うのであるが、それもリスクコントロールのためである。

 

この2つ目のリスクも大元を辿れば、進捗の較差に収斂することを気づくことができれば、工程設計をあらかじめしておくこと価値に気づけるはずである。

 

まあ、精神論な化石時代のプロマネではその発想はできないし、嘘をつくようなエンジニアはチームにはいられないのであるが。