ちょっとした業務要件を決めるステップ
あるバックオフィスの業務チームの定常的な業務を担当したスタッフから、担当した作業がとても大変だったから、次にやるときには改善したいと愚痴をこぼしていたので、じゃあ今度話を聞くからスケジュールを都合のいい所に入れてと。
愚痴をよくよく聞くと、スタッフに業務を依頼した従業員がヒヤリングをして、業務改善をすればいいだけの話であるが、その従業員と話をすると平行線になるのだという。だから、スパッと決めてしまう自分に助けて欲しいという。あまりしがらみも何も考えずに『いいよ』という。
そのスタッフには、1つだけさらりと『その大変だった問題点を手書きでいいから書き出しておいて』とお願いをしておく。
スケジュールの日時に打ち合わせスペースに集まると、そのスタッフは書き出してくれた問題点の紙を全てホワイトボードに張り出してくれた。ここで、先に従業員に釘をさす。『スタッフが問題点を出してくれた。あなたも今回の業務で問題点を感じたに違いない。なぜなら、スタッフに作業指示をしていたからだ。だから、あなたの目線での問題も教えて欲しい』と付箋紙とサインペンを渡す。
まずは、スタッフから『問題点』を全部聞く。ここは相手も質問も後回しに、全部問題点を聞く。なぜなら、一度全部問題点を聞かなければ、ひとつはこの人(自分)もスタッフの不満を聞いてくれないと思うからだ。もう1つは、わざわざ書き出してくれと頼んだのは自分である。
次に従業員の問題点を聞く。前準備をしていないからか、それともかは知らないが、数枚しかない。それも具体性も問題の本質もない。
それはさておき、業務のスタッフであるから、困っていることを切実に話してくれる。どの作業でどう大変だったか、なぜ大変だったかを熱心に語る。
そこまで受け止めて、一番大変で最初に解決したいことは何かを尋ねる。
全部の話を聞いたこと、一番大変な問題は何かを尋ねることで、信頼と実際に解決したいことは何かを一緒に進める気のあることを伝える。
問題点の上がった業務は、実は2つの業務に分かれていて、その片方をなんとかしたいという。
話を聴きながら、ホワイトボードにas isを簡略化したチャートで描く。チャートを描くことで、空中戦をさせない。あと、写真を撮っておくことでスタッフと従業員の間で何を話したかをエビデンスとして残す。
問題点を聞き、チャートに描くと、業務スタッフも従業員も前回のやり方を『正しい・変えられない』と勝手に思い込んでいる。
では、全くの制限を受けない理想の作業はどうであればいいかと質問を出す。
端的に言えば、問題は与えられるデータの不正確性である。それもコントロールできない他チームでそのデータを新規レコードも更新も行われている。as isの話を聞いていると正確なデータをこの業務を行なっているチームでも入手できるし、タイミング的にも問題なさそうである。
ここを確認したのは、業務として改善するときの実現性の裏付けをとったのである。
ここまで話をすると業務改善の要件を出し切っている。
- 問題点
- 実現したい業務
- 関連チームへの申し入れ事項
あとは、これらを業務スタッフか従業員が1枚のピッチに言語化してくれれば、それを持って他チームへ相談すればいい。
- 困っていることをきく。
- 制限のない状態で理想を描く。
- 要件として言語化する。
他にも諸々の問題点があるが、一番に解決したい業務上の問題の要件を決めることにそれほど高度なスキルはいらない。