仕事が早いと自慢するシステムエンジニアには憧れることはなかった
とある先輩 「俺は仕事が早いから」
若いころのワタシ「(へー、すごいですね。だからなに)」
多分入社して数年くらいの何かの集まりのときに、仕事は一緒ではないけど部署が同じだったのか、誰かのつながりでたまたま居合わせただけなのかは今となっては定かではないけれど、当時30代くらいのとある先輩がそんなことを言っていてそれがとても印象に残っているんですね。
そのとある先輩はたまに見かけることもありますが、すっかり過去の人となっている。システムエンジニアで過去の人と表現しているのはリーダをしているわけでもないし、お客様とプロジェクトをバリバリるような役割でもポジションでもない、ということです。
仕事が早いんだったのにね。
じゃあ、その仕事の早い先輩は何をすべきだったのか。余計なお世話なんでしょうが。だって、今の役割で満足しているのでしょう。だから、ずっと変わらないんだ。エンジニアなのに。
自分のしてみたいことを試してみる。これは一つの成功だと思うのですよ。試すだけの時間と機会を工面して、それができるように今抱えている仕事を「早く終わらせて」そのやってみたい試みに取り組む。
試みること1つだけでも、成長です。ただし、試みた、そう、過去形であること。実績であることです。試みようと「思っている」ではダメ。それではヤルヤル詐欺でしかないですから。
その、取り組めた実績が自分の成長につながる下敷きと成るのです。自分の知的好奇心をそそのかして、自分を未経験の場に連れ込む。だから、当然失敗する。でも、好奇心があってやったことです。今何が起きて失敗したのか、その失敗はなぜ起きたのか、その思いにつながるのです。好奇心が自分を次に動かすのです。
仕事が早いのなら、仕事を早く終わらせて自分の成長の場である技術に挑戦する機会を作る必要があるのです。
そりゃね、何年も同じ仕事をしていたら早くできるようにならないほうがおかしいです。それは同一の仕事であるために習熟度が上がったにすぎないのです。いつも同じやり方をしているのだから、新規性も新しい技術も方式もその仕事をしている自分に取り入れられることはないのです。
そんななのに「俺は仕事が早いから」と言われてもシステムエンジニアとして一体どんな魅力があるのでしょうか。後輩から見ても憧れの先輩になるわけがない。
仕事が早く終わらせられるようになったら、早く終わることで開いた時間を使って他の人より先に、他の人よりスピードを出してたくさん失敗するんです。自分を成長させるために。
早く仕事が終わるから、次々と失敗した試みを工夫して回を重ねることができる環境を作り好奇心を動かす試みをするのです。
そうしていたらその先輩だって憧れの先輩になれたのに。