成長が停滞している中堅エンジニアに手を差し出せるマネージャになるために

目標管理での業績評価を伝えたり、目標設定でのスキルの育成計画の元となる評価を話すとき、キャリアが滞留しているエンジニアに一つの特徴がある。

エンジニアに必要なスキルは2つに分けられる。1つは基礎スキルで業務を推進する能力やリーダシップのようなエンジニアの行動様式を構成するスキルだ。もう1つは技術スキルで方法論や適用する技術そのものを習得したり適用するスキルになる。

目標管理でもOKRでもエンジニアのスキルの成長のための目標を設定する際に大事なことの1つに現状を客観的に観察できるか、というポイントがある。現状認識をあるがままに捉えられるかどうか、これを過小でも過大でも甘く捉えてしまうと設定する目標の位置を間違えてしまう。

目標設定を低くしてしまえば容易に目標達成となるため、成長ののりしろはほとんど得られない。目標を達成するために掛けた期間が無駄になってしまう。方やとても高く目標を設定してしまうと未達となり、自信を失うきっかけになる。

キャリアが停滞、例えば40代くらいの中堅エンジニアで管理職の職位に上がれず止まっている場合の1つの理由に持ち合わせているスキルを客観的に評価できていない事象をまま見かける。

会話をしてその理由を探ってみると、その原因がなんとなくわかってくる。スキルの評価で説明を求めると『私、できますよ』と言うのである。でもエビデンスを求めると出てこない。例えば、『論理的思考スキルを業務で活用し業務課題を設定した』と言う目標を設定すると『本を読んだ』『論理的思考を活用した』くらいしか申告しない上、エビデンスはないのである。

これは自己肯定感ではなく、現状認識、あるがままの自分を受けれる能力が弱いのかもしれないと思うようになった。今の状態を今の自分として『そんなものだ』と受け入れられず、現状のスキルをありたいスキルにバイアスを掛けて自己評価をしているように見える。

これは自己肯定感というよりは、それ以前のあるがままの自分を受け入れられるかどうかと言う『自己受容力(自己受容という言葉があることにこのエントリを書いている途中で調べて知った)』の成長が未熟なのだろう。

マネージャをしているとエンジニアは成長するものだと無意識に思い込みをしてしまうが、成長が停滞しているエンジニアに対して一律で目標設定をしても期待する成長は得られないことを知っておくと、別のアプローチを見つけられるかもしれない。

 

成長痛 (moment)

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